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革紐を通す鐔の穴

鐔の真下に穴が1つないしは2つ開いている物があるが、これはやはりどうやら革紐を通していたらしい。「打刀拵(東京国立博物館)」にイラストの記載がある。

「打刀拵(東京国立博物館)」より


通した紐は腕に巻き付ける事で打ち合いの際に刀がどこかに飛んで行かないようにする工夫だろうか。
戦の残る戦国時代までの鐔に見られる気がする。
以下は半太刀拵の大小(細川家伝来で関ヶ原の戦いで使用されたという記録が確か残っている)だが、猿手もあり、どちらに紐を通していたのかは虚見深い。(猿手の用途については以前こちらにまとめた)

「打刀拵(東京国立博物館)」より

但し他の戦国期の鐔を見る限りは、鐔に紐を通すのがやはり戦国のトレンドにも思える。

「打刀拵(東京国立博物館)」より
「打刀拵(東京国立博物館)」より
「打刀拵(東京国立博物館)」より
こうした物も紐を通す為の穴かもしれない。
「打刀拵(東京国立博物館)」より


今手持ちにある鐔にも1点だけそうしたものが見られた。

山銅地のこの鐔もまた戦国期の古い様式を示しているのだろう。
肥後金工にも通じそうな海鼠透かしの作風で、詫び寂を求める肥後藩の誰かが使用していたのかもしれないですね。
煌びやかな鐔よりもこうした鐔の方が自分の身の丈にも合っているような気がして私は好きです。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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