刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケースを製作中。 刀が三度の飯より好き。 HP https://www.katana-case-shi.com/ ツイッタ https://twitter.com/katana_case_shi

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定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。 今回はこのマガジンを定期購読するとどういった記事が読めるのか?について書こうと思います。 ①定期購読すると読めるものについてこちらでは過去に書いた記事を全て無料で見れる他(単体購入記事以外)、定期購読者の方限定で読める公にはあまり書きづらいような事など含めてまずは月に2〜4記事を目標に触れていく予定です。

    • 円安の弊害と日本刀

      刀屋さんから聞いた話も含めて。 ここ1年で日本刀(美術刀剣)の値段が急激に上がったものがあるが、ごく一部の最上作に限っての話であり2極化している状況。 新刀や新々刀、並出来の刀は変わらないかむしろ少し下がっているとも聞く。 最上作がなぜ値上がりしたかといえば円安の影響による海外需要、という事になる。他には海外で日本刀が美術品として評価されてきているのかもしれない。 海外の人からすれば、1ドル100円の時に4000万円(40万ドル)だったものが、1ドル150円の時なら実質26万

      • GINZA SIXで内田望展と刀など

        刀の展示はブログ後半に書いてあります。 そこだけ見たい方は以下から飛んで下さい。 今日は銀座SIXで知人(内田望氏)の展覧会を見てきました。 内田望氏の作る立体作品は面白く好きです。 動物や昆虫などの生物は飛行能力や潜水能力など人間には真似できない特化した能力を生まれながら持っているが、一方で人間は持たざる能力を補う為に科学的技術を生み出してきてそれを補ってきた。 そこに着眼し、人間の生み出した科学技術を生物に組み合わせることで、生物の本来持つ能力を可視化させるという面白

        • 自在置物の龍拵

          以前見かけた立体的な龍が笛に巻き付いている面白いデザインの短刀拵。 これは自在置物の技術を用いて龍を製作し、それを笛型の拵に巻き付けている様子が伺える。 以前東京国立博物館にて自在置物を見た時の様子が以下である。 明珍宗察(1682~1751年)の作で、1713年の製作年紀入り。 自在置物としては最も古い作。 関節が自在に動くように作られており蛇のようにくねくねと様々なポーズを取る事が出来る。 この時代から既に金属で立体的な造形を製作しており、かつ非常に完成度が高い。

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        • 鐔鑑賞日記
          92本
        • 刀展示ケース製作日記
          165本
        • 刀装具
          227本

        記事

          忘れがちな名工 末備前の清光

          1振りの刀を茎を隠した状態で拝見させて頂いた。 南北朝体配を摺り上げたような、はたまた慶長新刀のような姿をしており地鉄が詰み非常に精美で潤いがある。 地鉄はよく見ると相州伝のような板目や杢がうっすらと上品に浮かび上がり非常に端正。 物打ち付近にごく僅かに乱れ映りのようなものが見えるが、気のせいと言われればそうかもしれない。 故に映りはほぼ無いのかもしれない。 刃は匂口が締まり気味であるが、眠くならずに冴えている。 区より上20㎝ほどの範囲には足と葉が良く入っているが、物打ち辺

          忘れがちな名工 末備前の清光

          刀装具も減らすは難儀

          おかしい。 減らすはずが増えている。 少し前に立てた今年の目標は新しく刀装具を1買うなら下取に2~3を出すはずであったが。 なぜか微増している。 おかしい。 散らかりすぎたコレクションを減らしてまとめるにはジャンルを絞るか、質を高めて厳選していくしかないはずだが。 ジャンルは現代の成木鐔、桃山期の埋忠や真鍮鐔、室町以前の山銅鐔に絞っているが当面はこれ以上絞れる気がしない。 因みに目貫は一旦ストップで良いかな、という気持になれたのは自分の事ながら自制が効いて有難い。 という

          研ぎ減った刀の考え方

          普通に考えれば「よく使われた」刀です。 よく使われるほど大切にされたと捉える事も出来ますし、それだけ人の命を奪った可能性があると捉える事も出来ます。 主君を何度も守ってきたと考える事も出来ます。 言い方は色々あれど一言で言えば「よく使われた」刀です。 感覚値ですが、平安、鎌倉時代の刀はほぼ99.9%研ぎ減っています。 特重指定品でも重文でも少なからず研ぎ減っています。 0.1%信じられない位健全な物がありますが、これはもしかしたら一度も斬っていないかもしれません。がそれで

          鏡師 紋様鐔①

          鏡師による紋様鐔。 山銅で鋳造により作られているが、表面の紋様などあまりダレておらず状態がとても良い。 書籍などから類似例を探ると個人的には南北朝~室町初期頃の作の様に感じている。後程記載。 鏡師のように鋳造された鐔には同じ型を何度か流用した可能性があると思われるが、型にも寿命がありやはり最初の方に製作した鐔の方が綺麗に作れ(例えば紋様などがはっきりとする)、何度も型を使用するうちに型が摩耗し破損したり紋様もヌメっとした感じに仕上がってしまう可能性があると考えられる。 例

          第77回清麿会に参加させて頂きました

          昨日11/14は源清麿の命日でした。 清麿がなくなったのは1854年(享年42歳)ですので、今年で170年とのことです。 そんな清磨の命日にあたる日に「第77回 清麿会」に参加させて頂きました。 施主はつるぎの屋さんが行われています。 場所は四谷の宗福寺です。宗福寺は全国にいくつかあるようなので、Googleマップでは「源清麿の墓」と検索した方が引っ掛かりやすいです(豆知識)。 今年も鑑賞刀が並びました。 数はうる覚えながら栗原信秀(短刀1振、刀3振)、正行銘の清麿(天保年

          第77回清麿会に参加させて頂きました

          成木鐔㉜ 闇が深い羊鐔の真相

          大刀剣市で手に入れた変わった成木鐔。 その伝来故に買うのを躊躇したのですが、その真相について書こうと思います。 上記の様に裏面に羊が鋤き出し彫されている珍しいもの。 問題は表面です。

          成木鐔㉜ 闇が深い羊鐔の真相

          一度失敗した新色の箔漆板が完成

          依頼があり表が青貝箔(青&銀箔)と裏が紅葉色のリバーシブルの箔漆板を半年ほど前から製作しており3か月ほどかけて1度完成したのですが、漆乾燥時の抑えが甘かったりなどで下地の色箔が出てきてしまい、本来赤くなる部分が斑模様になってしまったため再製作していました。 そして更に3か月…ようやく完成しました。 まずは表の青貝箔面。箔の立体感ある良い仕上がりになりました。 問題の裏面も今回は下の色箔が表に出てこなくなり赤がしっかり見えてきました。 濃く黒っぽく見えますがこれから更に時

          一度失敗した新色の箔漆板が完成

          古金工 菊花透鐔③ 二十五花弁図

          山銅地の大ぶりな菊透鐔。 横92.5×縦93×切羽台厚4㎜。 茎孔は縦35㎜と相当大きな大太刀に掛けられていたと思われる。 デザイン的には上杉家の菊花透鐔にも円形に菊の透かしを彫った物がある。 図録「上杉家の名刀と三十五腰」には南北朝期頃の鐔とされており、径は102㎜×99㎜、厚さ5~7㎜と大振りで、茎孔も写真から推定すると縦寸法で34㎜ほど空いているように伺える。 上記解説から引用すると「表面は平らでなく金槌で叩いたままのでこぼこ、透彫も鏨できったままで、鑢をかけていな

          古金工 菊花透鐔③ 二十五花弁図

          成木鐔㉛ 金山写(水さし図)

          自身としては初めて手にした金山写しの成木鐔。 大刀剣市で手に入れたもので今一度じっくり鑑賞してみる。 平成九年の作で胞山銘が切られている。 胞山銘で年期の入った作は少なく、胞山銘を切っていた時期を探る上で貴重に思える。 横62.5×縦62.3×耳厚5.3㎜ 耳は鉄骨を意識して出すように作られている。 平成の作ながら古風な良い鉄地をしている。 茎孔の寄せ鏨などの再現も良く出来ており、なかなか良く出来た鐔に感じる。 銘が無ければ紛れてきそうな鐔にも思うが、成木鐔には共

          成木鐔㉛ 金山写(水さし図)

          成木鐔㉚ 丑歳鐔

          成木一成氏は金山や尾張、赤坂、京透、甲冑師や信家などの名作の写しも良く作っているが、オリジナルデザインの鐔も作っている。 この鐔も恐らく成木氏オリジナルのデザインで、干支モチーフの作と思われる。 平成5年の作で鉄地の風合いは艶やかないわゆる成木鐔の典型的な作例。 耳は鉄骨などが一切なく、綺麗にまとめられている。 尚、岐阜県博物館に同手の物が所蔵されている。 成木氏が同手の鐔を2~3枚程度製作する事は過去にも何度か書いたが、今回 分かった事は「箱書きも複数している」という事

          京金工極めの理由を探る

          先日大刀剣市にて手に入れた真鍮鐔を改めて鑑賞。 横81×縦85×切羽台厚3.5(耳厚4.5㎜) この手の鐔は時々見るもので大体「古金工」の極めが付いています。 しかしこれには「京金工」の鑑定書が付いていました。 京金工という事は恐らく江戸時代頃のものとして鑑定を受けたという事になります。 購入時から感じていた「なぜ?」という疑問を探るため改めてじっくり鑑賞してみます。 まず「鐔+小柄 目貫 笄 縁頭 私のコレクションⅡ(著:平地茂雄)」には似た鐔が掲載されています。

          小刀に登録証

          先日手に入れた小刀(刃長12.9㎝)には登録証が付帯していた。 小刀には基本的に登録証は必要ありません(刃長15㎝以上、元重2.5㎜以上の大振りなものだけ登録証が必要)。 しかし現在では現在は5.5㎝以上の刀剣類には登録証を取る事が推奨されているらしい。(参考:つるぎの屋 日本刀の刀剣によくあるご質問) 推奨なので必須ではない。 しかし以下の写真を見て、左の小刀に銃砲刀剣類等登録証が付いていて、右の長く鋭利な包丁には特に何も付いていない。 これに対してきっと多くの人は少し違