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大切な視点

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自分にはなかった考え方やものの見方、大切だけど忘れがちなことなど、他のクリエイターさんの記事を集めたマガジンです。
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#荒川和久

Z世代なんて「おっさんのおっさんによるおっさんのための言葉」だから

Z世代なんて「おっさんのおっさんによるおっさんのための言葉」だから

Z世代を含む世代論マーケティングについては、たびたびその無意味さを指摘している。世代論が通じたのは、20世紀になってからの大衆の時代までであり、みんなが「人生ゲーム」のように同じ年代で同じ社会的立場となり同じような所得で進むという前提の上の話でしかない。

そもそも、かつての正ピラミッド型の人口構成の時代ならともかく、今は若者人口が減っている。そんな状況の中で、「Z世代がこれからきます!」なんてこ

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自己肯定感の言葉のインフレで、自己皇帝感人間が増えている

自己肯定感の言葉のインフレで、自己皇帝感人間が増えている

自己肯定感という言葉がいつの間にかインフレを起こしている。そういう言葉をタイトルにした記事や書籍がたくさん出て、並行して「自己肯定感をあげるセミナー」などのようなものもたくさん出てきている。

まあ、それはいいのだが、懸念するのは「自己肯定感」という言葉の意味が勘違いされてきているということだ。

一番多いのが「自己肯定感」と「自己有能感」の混同である。自己有能感(自己有用感ともいう)とは、自分が

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「無敵の人」より恐ろしい「正義の人」

「無敵の人」より恐ろしい「正義の人」

本当の悪人は自分から罪を犯すことはしないし、誰かに罪を犯すよう命令すらしない。誰かが自分の望む罪を犯すような空気を作るのが本当の悪人である。

ネットでは、何か不祥事が起きると瞬時にそれを一斉に叩く炎上という現象が起きる。もちろん叩かれても仕方のないようなことをしでかした場合もあるが、中には殺人でもなければ放火でもない、ましてや犯罪ですらないものでさえも炎上することがある。裁判官でもないのに裁判官

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自分の見たいものを信じようとする宗教的な世代論マーケ、いつまで続けるの?

世代論については、事あるごとに「無意味」と提唱しているのですが(特に、マーケティングの分野では)、なんの宗教なのか、世代論絶対主義者は一向にいなくならないようです。

世代論の中でよく話題になるのが「若者論」。むしろ、最近は「Z世代」という言葉が氾濫して、あろうことか、そうやってレッテル貼りされている若者自身が、得意気に自ら「うちらZ世代だから」と言い出す意識高い系界隈まで出現する始末。

身も蓋

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男が夫が父が「大黒柱でありたい」と頑張るのは悪いことなのか?

男が夫が父が「大黒柱でありたい」と頑張るのは悪いことなのか?

10/16にヤフーに書いたこちらの記事がものすごくバズりまして、大変読まれています。

単に「婚活女子たちよ、高望みするな」という話が言いたいわけではなく、現在の日本の男の年収がこんなにも低いのかという点をもっと深刻にみていただきたいと思います。

さて、そんな論調とはうってかわったこちらの日経の記事にもコメントを寄せています。

女性だけが有料で、男性は無料というユニークな婚活サービスを紹介して

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新自由主義は経済格差から恋愛格差へ。そして幸せ格差へと移行する

米国バイデン大統領が、本当に「小さな政府」と決別し、「大きな政府」に回帰するのかは注目されている。言い換えれば、1980年代レーガン政権以降長く続いていた新自由主義からの脱却である。今まで民主党政権であっても、新自由主義を踏襲していたわけだから。

日本においても、同時期に新自由主義に舵を切った。しかし、奇しくも、同じように恋愛の新自由主義時代にも突入していった。1980年代の日本は、恋愛至上主義

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孤独とは、毒だと感じる人もいれば、最良の薬である人もいる。本質的な問題は孤独ではない。

孤独とは、毒だと感じる人もいれば、最良の薬である人もいる。本質的な問題は孤独ではない。

内容的にはどうでもいいニュースですが、まず見出しが誤解を招く。菅総理は孤独担当大臣を設置するなんて一言も言ってない。

さらに言えば、そもそも孤独担当大臣なんていらない。大臣作れば解決するの?少子化担当大臣が一体何の仕事をしたっていうの?

でもな、ソロ外食を全く理解できない国会議員たちは自分らが孤独が怖いからってこんな無意味なポスト作りそうで嫌だ。

案の定、自民党でも「孤独対策」云々とか言い出

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禁止令や罰することしかできない為政者は下の下

禁止令や罰することしかできない為政者は下の下

新型コロナウイルス対策として、特別措置法の改正案や感染症法の改正案が自民党の総務会で了承されたそうだ。政府は、週内にも法案を閣議決定し、今の国会で成立を図る方針とのこと。

罰則の内容は、上記日経の図表がわかりやすいが、医療機関や患者に対する罰則規定は別にして、特に問題にしたいのは、飲食店に対する罰則規定だ。緊急事態宣言下であれば、時短や休業の命令に従わない場合、50万円の過料という行政罰が課せら

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チームワーク礼賛主義は、戦前の全体主義に似てとても危険

チームワーク礼賛主義は、戦前の全体主義に似てとても危険

「一人でいるのが好き」とか「仕事は一人でやりたい」とか言うと、「あいつはきっと友達がいない奴だ」とか「協調性がない奴だ」と、偏見の目で見て、変なレッテル貼りをする人がいます。

特に、大企業の中で、人事システムが最近「チームワーク礼賛」みたいな風潮になりすぎていないか?という危惧があります。

こういうことを言うと、「一人でできる仕事のレベルなんてたかが知れている。企業でやる仕事というものは必ずチ

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