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【読書】『能の本』

 2024年9月、シテ方宝生流の能楽師、辰巳満次郎さんが監修した『能の本』を読みました(と言いつつ、4分の3くらい読んだところです。)
 記録を残したいと思います。

■本の概要

・文  :村上ナッツ
・マンガ:つだゆみ
・監修 :辰巳満次郎(シテ方宝生流能楽師)
・発行日:2016年11月25日初版第一刷発行
・発行所:西日本出版社

能の本

■メモと感想

(1)メモ

 本の帯などから、本書の構成・特徴として、以下のような点が読み取れます。

  • 能の入口として、「厳選20曲」

  • 詞章が現代語訳されていて、「短編小説」のように読める

  • 各曲に一目でわかる1ページの「マンガ」

  • 声に出して読みたい「台詞」(←名場面?)

  • 満次郎のコラム(←見どころ?)

(2)感想①:日頃の鑑賞を振り返って

 能を鑑賞するとき、私は「詞章」を目で追うことがあるのですが、いつもなかなか上手い現代語訳が頭に浮かびません。もう少しいうと、状況や場面、情景を十分に理解しているとは、言えない部分があります。
 詞章の現代語訳や解説を読んで、「なるほど、そういうことか。」と思ったり、「上手い訳だなぁ。」と思ったりすることもしばしばです。

 そして、「もっと詞章を読み込んでから鑑賞しよう!」と、いつも思うのですが、なかなか実行に移せずにいました。
 こうした常日頃の取り組みは「古語→現代語」と言えますが、本書は逆に「現代語→古語」の取り組みのように思いました。本書を読んでから、能を鑑賞するのは、面白いように思います。

(3)感想②:面白かったポイント

 結論からいうと、思った以上に面白かったです。以下のような点があげられます。

①(「前場→間狂言→後場」と説明が繰り返し出て来る曲(話)もあるのですが、)村上ナッツさんの文章は、全体として、サラッと流れを持って読むことが出来ました。

②(私は、能がゆっくりとしていることもあってか、一曲の上演時間を長く感じることが多いのですが、)短編小説のような本書を読んで、能が人生の一コマ(短い一場面)を切り出した側面を持つことを実感出来ました。

③村上さんの本文も面白かったですが、各曲の最後に載っている辰巳満次郎さんの「満次郎のここが面白い」というコラムが一番面白く思いました。各曲の「ここが面白いよ」「ここをみて」といった見どころが載せられています。

(4)感想③:個別の曲について

 入門としての20曲が載っていますが、例えば、「隅田川」などラストに驚いた曲もありましたし、「自然居士」のように面白い話だなぁと思った曲もありました。また、「卒塔婆小町」や「綾鼓」では、①恋愛と②老いること、①②が絡まっていますが、それぞれだけでも、面白いテーマだと思いました。いつか個別にでも掘り下げて考えてみたいです。
 今回、各曲の感想は、あまり書くことが出来ませんでしたが、また別の機会に考えたり、まとめたりしてみたいです。

■最後に

 最後に、本書には続編として『能の本2』があるそうです。こちらも読んでみたいと思います。
 冒頭の画像は、「鐘」で検索し、素晴木あい@AI絵師さんの作品を使用させて頂きました。ありがとうございました。
 本日は以上です。

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