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絵空事

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記事一覧

最後の時 その後日

博人はパソコンの整理をしていた。なにかきっかけがあったわけではないのだが、予定のないゴー…

いうえお
1年前
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小説家たるもの

「うーん・・・」 「『あなたはまるでモナリザのように』・・・いや、こんな陳腐なことは言え…

いうえお
1年前

あなたに続く言葉

雨の中、先輩は独り歌っていた。 毎年夏に行われるバンドサークルの合宿。いつもは宿舎につい…

いうえお
1年前
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夢の中へ

 いきさつは覚えてないが、子供たちを集めてカードゲーム大会をすることになった。私は8歳の…

いうえお
1年前
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僕は『戦場のメリークリスマス』を見たことがない

僕は『戦場のメリークリスマス』を見たことがない。 でも最後のセリフは知っている。「メリー…

いうえお
2年前
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日差し

    日をいっぱいに浴びた草木に  誰かが作った一本道  そんなところに影はないけれど  …

いうえお
2年前

ガラスの球体に閉じ込められたウサギの行動に関する記録

ここはアマゾン。ガラスの球体にウサギが入っている。アマゾンにはウサギを食べる動物が山ほどいる。 この球体からウサギが脱出するためには、野生のウサギに球体を触れてもらわなければならない。ただし、野生のウサギは、そこにウサギがいると確信が持てない限り球体には触れない。 ガラスの球体には特徴がある。それは球体の中にいる生物を「主」として認識し、その指示に従うということだ。 しかし、ガラスの球体についている機能はたった一つ。それは透明度を自由に変更できること。外から全く見えないよ

雨に降られて

終わりは近づいていた。 あいつが僕を心からの親友だと思っていること。そして、もう一つの心…

いうえお
2年前
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青春

僕はショウ。今日から東京の高校に進学する16歳だ。 今日は入学式。あまり緊張はしなかった。…

いうえお
2年前

バイオリンによる演奏と同性愛の話

「ダメなんだ。僕は君とおじいさんになってまで一緒にいられる自信はない」 「そんなことはい…

いうえお
2年前
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怖がりな二人

 夜の街、その一室。怖がりな男は背中に視線を受けていた。そして、その視線の主もまた同じ。…

いうえお
2年前

キミがために

 冬。 午後6時。 三階の隅にある教室。 電気は全部消した。 窓のすぐ近くにあるV字の柱…

いうえお
2年前

あの日ライブハウスで

 ゲームが好きだった。体を動かすのも好きだった。それ以外に取り立てて熱中したものはなかっ…

いうえお
2年前
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ある さぎし の おはなし

 むかし、あるところに一人の詐欺師がいました。この詐欺師がうそを言い始めたのは14歳のころ。ばれないように少しづつ、みんなをだましていたのでした。  詐欺師はみんなをながいあいだずーっとだましていました。けれども、それは自分が儲けようとか、だれかを不幸にしようとか、そういう目的ではありませんでした。詐欺師は自分の身を守るためにみんなをだましていました。詐欺師は自分が死ぬくらいならと、罪を犯すことを選んだのです。   詐欺師はどうしたらみんなをだませるか考えました。まずはみ