怖がりな二人
夜の街、その一室。怖がりな男は背中に視線を受けていた。そして、その視線の主もまた同じ。怖がりで。それで。
二人は今日ここで、境界を越えた。なんの差別も受けない。きれいな町へと。
境界を越えてもなお二人は恐れていた。夜が明ければ再び壁は立てられる。一つの町を分ける壁が。
恐れていながらもなお、その境界を越えた。それは、もう耐えられなかったからだ。夜、壁の向こうを想像しながら、日の当たらない壁を見つめることを。
二人は偶然出会った。しかし、それが偶然でないと感じた。二人が動き出したとき、それは壁の向こうの虹が見えたときだったから。
そのまま二人は黄昏の中を歩いた。まるで友人のように。少し目が潤んでいる。これから夢がかなうこと。そして、こうもしなければ夢がかなわないこと。その両方がいっぺんに押し寄せた。
いつものバーで少し酔ったあと、二人は一室へと向かった。怖がりな二人は、安堵を求めた。
・・・二人が安堵を手に入れた。二人は当事者でありながら、ドラマを見ているようだった。まるで他人のことのように。
夜が明ける。二人は町へと繰り出した。二人は再び境界を越え、戻る。こんなに悲しいことはなかった。それでも、二人はただの男に戻った。本当はまだともにいたかったのに。
二人の秘密は守られた。