ガラスの球体に閉じ込められたウサギの行動に関する記録
ここはアマゾン。ガラスの球体にウサギが入っている。アマゾンにはウサギを食べる動物が山ほどいる。
この球体からウサギが脱出するためには、野生のウサギに球体を触れてもらわなければならない。ただし、野生のウサギは、そこにウサギがいると確信が持てない限り球体には触れない。
ガラスの球体には特徴がある。それは球体の中にいる生物を「主」として認識し、その指示に従うということだ。
しかし、ガラスの球体についている機能はたった一つ。それは透明度を自由に変更できること。外から全く見えないようにすることもできるし、球体なんてないように透明にすることもできる。
このとき、ウサギは透明度をどう変化させるのか。これらの装置を100個用意して、それぞれを記録した。(なお、初期設定は全く見えない状態=0とし、透明度最大の状態を10とする。加えて、最初ウサギは外に狼がいることを知っているが、狼はウサギの存在を認識していないものとする。)
結果として、すべてのウサギにおいてほぼほぼ同様の結果が出た。それはおよそ24時間後にはほぼすべてのウサギが透明度を10にしていたということである。つまり、ある程度のリスクをとってでも野生のウサギに見つかる可能性に欠けたということである。
なお、ここで重要なのは球体の中でも十分生存は可能であり、ウサギもそれを理解しているという点である。つまり、ウサギは野生の動物に見つからない安全性に加えて、保証された生活も捨てたのである。
ここまでくると、おそらくウサギは、単に脱出を目的として透明度を上げたのではないだろう。野生のウサギを脱出のピースとしてのみではなく、他者としての魅力を感じていると推論できる。
追記:透明度を10まで上げたウサギは2時間以内に全て捕食されてしまった。