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雨に降られて

終わりは近づいていた。

あいつが僕を心からの親友だと思っていること。そして、もう一つの心は短い髪のあの子に向いていること。

それでも僕はあいつと仲良くしていた。親友でいられるということはこの上ない幸福であり、それ以上を求めることはなかった。・・・いや、嘘だ。夜、それからを考えたこともある。

親友と恋人は、少なくともはたから見れば、そう違いのない行動をとる。しかし、もちろん親友と恋人の違いもあるわけで。その違いはとても汚い。

そのことに気づいてから、愛だの恋だのをきれいにとらえるのはやめた。心のどこかでずっと「ドラマの見過ぎだよ」とささやく自分がいた。

あいつは今日も僕の家に泊まっていく。連日雨が降っている。あいつはきっと着替えを持ってくるだろう。それで着替えて、僕の隣に座る。ゲームでもしよう。この前新しいのを買ったんだ。

・・・あいつだって薄々気が付いているんだ。僕だって人と話しててたまに思うことがある。それでも、あいつは演じ続けてくれる。僕に取り込まれないように、絶えず距離をとりながら演じ続けてくれている。

でも、もうそれも終わり。もう僕もいい加減汚くなりたい。もちろん、それをあいつに求めはしない。とてもわがままなことを言っているかもしれない。本当にごめん。でも、そろそろこの劇にピリオドを打たなければならない。

僕は演じる側になる。そして、もう一つの心はどこかに向かわせる。君はもう演じなくていい。もう、僕は君の友達になる。そうしよう。だから、今日だけ、もう一度だけ演じてほしい。嘘で構わないから。今日は他に誰も呼ばないから。

午前10時。あいつが帰り支度を始める。千秋楽は決して華やかではなかったけど、とてもきれいだった。

じゃあ、と言ってあいつが扉を開ける。

外はまだ雨が降っていた。横殴りの雨が僕と僕の居場所を濡らした。