バイオリンによる演奏と同性愛の話
「ダメなんだ。僕は君とおじいさんになってまで一緒にいられる自信はない」
「そんなことはいいだろ。別に大した問題じゃない。将来がどうとか、そうじゃなくて、今、この時に楽しいかが大事なんじゃないのか」
「それでも、今この瞬間だってそうじゃないか。表で手をつないで歩く度胸はないし、いつ後ろ指をさされるかわからない」
「そんなことも関係ない。俺は何だってできる。周りがどう思うとか知ったこっちゃない。何なら君の好きなブルースだって大声で歌える。」
「でも、だめなんだ。それでも・・・」
「何がお前を縛っているんだ。お互いに好きでここにいる。それでいいだろ!」
「心のどこかでまだ普通でいたい僕がいる。本当にそれだけ。」
「普通じゃないってことは間違っているってことじゃない。それにたとえ間違っていたっていいだろう?別にそれだけだ。」
「でも・・・」
「今ここで嘘をついたって楽しくないことはわかっているだろう?」
「・・・」
「二人で楽しく過ごそうよ。無駄話もしよう。二人で暮らして、二人で一緒に朝食を食おう。たまに出かけて、二人で外食もしよう。それだけ。」
「・・・うん」