見出し画像

福祉先進国デンマークのリアルを知る〜今日の日本を変えるには福祉先進国から学ぶ!〜





KAiGO PRiDE WEEK  DAY-5「デンマークから学ぶ」2024年2月21日(水曜日)


本企画では、デンマークで活躍する介護職、マイコ・ウエダさんをゲストに迎え、北欧の福祉先進国デンマークの介護事例を共有し、日本との違いから学ぶことを目的としています。デンマークのケアセンター内の入居型リハビリ部門で働いているマイコさんに話を聞きながら、デンマークの介護施設の実態や社会全体の福祉に対する取り組みについて深く掘り下げ、一般の方々にも分かりやすく情報を提供していきます。


「介護に関係ない人はいない」KAiGO PRiDE WEEK 2024 のメインメッセージ

日本との違い

デンマークには介護施設や老人ホームはなく、高齢者住宅の一形態として、要介護度の高い高齢者向けに、「プライエボーリ」(介護職員付き住宅)が普及している点が日本との大きな違いです。今回は、分かりやすいように「施設」と表記します。デンマークの施設では、入居者は住人と呼ばれ、住人自身が主体となり、生活の質を重視したサービスが提供されています。また、職員は特定のシフト制で働き、日勤、準夜勤、夜勤で分かれています。


デンマークの介護の特徴

自己決定と尊重: デンマークの介護は、住人の自己決定を尊重し、個人のニーズに合わせた柔軟なケアを実践しています。

  • デジタル化: 介護記録のデジタル化が進んでおり、職員間での情報共有が容易になっています。

  • 多様なリハビリサービス: 幅広い年齢層の住人に対して、個別のリハビリプランを提供し、自宅復帰を目指すサポートを行っています。


社会との連携

デンマーク社会では、福祉とケアに対する共通理解と支援の文化が根付いており、子どもから高齢者まで全世代にわたる自己決定の重要性が認識されています。


ワークライフバランスと国際性

デンマークでは、仕事とプライベートのバランスを大切にする文化があり、介護職員もこの価値観のもとで働いています。また、多文化が共存する職場環境があり、外国人職員も積極的に受け入れられています。


幼稚園のくらいの歳から「貴方はどうしたい?」と自己決定を求められ、各々選択する文化があることがビックリしたと語ってくれました

介護職員の1日の流れ

マイコさんはデンマークの介護施設で日勤を担当しており、朝8時の出勤から始まります。最初に仕事用の携帯電話でログインし、夜間の介護記録を確認することから一日がスタートするとのことでした。その後、担当する住人の朝のケアを行い、必要に応じて朝食の準備をします。デンマークではIT化が進んでおり、全ての業務や住人のデータがデジタルで管理されています。これにより、効率的に情報を共有し、個々の住人に合わせたケアを実現しているようです。


リハビリとケアの実践

マイコさんの勤務先では、リハビリ部門での勤務を通じて、幅広い年齢層の住人に対して個別のリハビリプランを提供しています。住人一人ひとりに合わせたケアを行い、自宅への復帰を目指して支援しています。


社会の福祉文化

デンマーク社会は、お互いを支え合う文化が根付いています。公共の場でも親切な行動が自然と行われ、子供から高齢者まで、個人の意思が尊重されています。特に子供は国の宝とされ、将来を担う存在として大切にされていると言っています。また、自己決定の重要性が強調され、幼少期から自分の意見を尊重される環境が整っているようです。


ワークライフバランスと余暇の過ごし方

デンマーク人はプライベートの時間の使い方に長けており、冬の長い期間も趣味や学びの時間を楽しんでいます。カルチャー教室に参加するなど、退職後も積極的に新しいことに挑戦している人が多いようです。仕事とプライベートのバランスを大切にし、自然の中で過ごす時間を重視する文化があるとのことでした。

デンマークの介護現場の日常

デンマークの介護現場では、日勤の介護職員が早朝から業務を開始し、デジタルツールを駆使して住人のケアを行います。朝のミーティングを経て、携帯電話やタブレットを使用して介護記録をチェックし、担当住人の朝の介護や支援を進めています。デンマークの介護施設では、IT技術の進展により、効率的な情報共有と個別化されたケアが可能になっているようです。

IT化と高齢者の生活

デンマーク社会では、高齢者を含む全世代がIT技術を積極的に利用しており、日常生活においてデジタル化が進んでいます。郵便物のデジタル化やネットバンキングの普及、教育や職場でのペーパレス化など、社会全体でIT技術の利用が推進されています。高齢者もスマートフォンやタブレットを使いこなし、家族とのコミュニケーションや情報収集に活用しています。


社会の支援体制とコミュニケーション

デンマークでは、外国人職員も含めた多文化な職場が一般的であり、介護現場においても多様性が尊重されています。職場では、スタッフ間の協力とサポートが重視され、共に働く仲間とのコミュニケーションやディスカッションが活発に行われています。このような環境は、高品質な介護サービスの提供に寄与しています。


デンマークには「施設」は存在しない。今は高齢者が住まわれる「住居」として可能な限り住み慣れた地域で過ごすのが望ましいと言っていました。


デンマークの介護と日本への示唆

デンマークの介護現場からは、IT技術を活用した効率的なケアや、高齢者の自立支援、職場の多様性とコミュニケーションの重要性など、多くの学びを得ることができるようです。日本の介護現場も、これらの点を参考にしながら、さらなるサービスの向上を目指すことが可能でしょう。

デンマークの介護事例からは、住人中心のケア、デジタル化の進展、社会全体の福祉への取り組みなど、日本の介護現場にも応用可能な学びが多く存在しています。マイコさんの体験を通じて、日本とデンマークの介護の良い側面を相互に学び合うことの重要性が強調されました。

デンマークの介護現場では、高度なIT技術と個々のニーズに応じたケアが実現されています。また、デンマーク社会全体に根付いた福祉文化と、個人の自己決定を重視する姿勢は、介護を取り巻く環境においても重要な役割を果たしています。仕事とプライベートのバランスを重視する文化は、介護職員の生活にもポジティブな影響を与えています。

デンマークの介護現場と社会全体でのIT化への適応は、高齢者の生活の質の向上と効率的なケアの実現に貢献しています。また、多文化共生の職場環境とスタッフ間の積極的なコミュニケーションは、介護サービスの質を高める上で重要な要素であります。これらの事例は、日本の介護現場においても有用な学びを提供してくれるでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!