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ベトナム人の海外労働の動向について-日本との関係性を考える~後編

はじめに

ベトナムと日本との関係性を考えるの後編になります。

【3】ドイモイ政策の背景と目的

ベトナム戦争後、ベトナムは深刻な経済危機に直面していました。食糧不足、インフレ、生産性の低下などが問題となっていました。

〇当時のベトナムは、ソビエト連邦との関係に依存していましたが、西側諸国との関係は、ほとんどありませんでした。

※ドイモイ政策とは、1986年から実施された、社会主義体制を維持しつつも緩和し、市場経済を導入して経済の成長を促す政策です。 ドイモイ(Doi Moi)とは、共産党大会において提唱されたスローガンで「刷新」を意味します。 べトナム語でドイ(Doi)は変化という意味であり、モイ(Moi)は新しいという意味です。

1986年に開始されたドイモイ政策は、これらの問題に対処するためのものでした。この政策は、ベトナムの経済この政策の主な目的は、ベトナムの経済を、計画経済から市場経済への移行を促進させて、国内経済の活性化と国際経済への統合を図ることでした。

【4】ベトナムのドイモイ政策と労働力輸出についてもう少し

(1)ドイモイ政策の主な内容と特徴を挙げてみます。

①ドイモイ政策の最も重要な側面は、計画経済から市場経済への移行でした。これにより、個人の企業活動や外国投資が奨励され、経済の自由化が進みました。

農業集団化の政策を緩和し、個々の農家に土地の使用権を与えることで、農業生産性の向上を図りました。

外国直接投資(FDI)を奨励するための法律が導入され、外国企業によるベトナムへの投資が容易になりました。

④国有企業の効率化と民営化が進められ、競争力のある経済体制の構築が目指されました。

(2)日本との関係から考えてみます

日本は、ベトナムからの労働力輸出にとって重要な目的地の一つになりました。要因を挙げてみたいと思います。

日本の労働市場は、特に技術者や介護職などの分野で労働力不足が慢性的となり、ベトナム人労働者にとって魅力的な就職先となっています。

日本の技能実習制度は、ベトナム人労働者にとって技能を習得し、経験を積む機会を提供しています。

日本は、国際的な比較的安全で、社会的にも、ベトナム人労働者を受け入れやすい環境を提供していると評価されてきました。

(3)経済的な要因の具体化

①日本はベトナムのインフラ建設、製造業、情報技術などの分野で大規模な投資を行っています。例えば、ハノイの都市鉄道プロジェクトやホーチミン市の水処理プロジェクトなどが日本の支援によって進行しています。

②日本はベトナムの重要な貿易パートナーであり、ベトナムは日本に農産物、繊維製品、電子機器などを輸出しています。逆に、日本からは自動車、機械設備、技術サービスなどが輸入されています。

③日本の労働市場における技術者、介護職、建設労働者などの不足は、ベトナムからの労働者によって補われています。これは日本の人口減少と高齢化の問題を緩和する上で重要です。

(4)文化的な要因の具体化

日本の大学や専門学校に留学するベトナム人学生の数は増加しており、これにより両国間の文化的な理解が深まっています。また、ポップカルチャーの分野では、日本のアニメ、映画、音楽などがベトナムの若者文化に大きな影響を与えており、日本への親近感を高めています。

(5)政治的・外交的な要因の具体化

①安全保障協力
日本とベトナムは南シナ海問題を含む地域の安全保障に関して協力しており、共通の安全保障上の利害が両国を結びつけています。
高官訪問
日本とベトナムの首脳や高官の相互訪問は頻繁に行われ、政治的な信頼関係を構築しています。

(6)教育と技能開発の具体化

①技能実習制度
日本の技能実習制度を通じて、ベトナム人労働者は日本で技術や知識を習得し、その経験をベトナムに持ち帰ることができます。まして、実習終了後、日本が働きやすい労働市場だと判断されて、ベトナム人労働者は、特定技能在留資格を取得して、日本国内で働き続ける現状となってきました。

②日本語教育
ベトナム国内での日本語教育の普及は、ベトナム人労働者が日本での就労に適応するための基盤を提供しています。

(7)地理的・歴史的な要因の具体化

①地理的近接性
地理的に近いことは、貿易や人の移動を容易にし、両国間の交流を促進しています。

歴史的な交流
両国間には長い歴史を通じての交流があり、これが現代の関係構築の基盤となっています。

これらの具体的な事例や分析を通じて、日本とベトナムの関係がどのように「相思相愛」の状態に至ったかをより深く理解することができます。経済的な相互依存、文化的な交流、政治的な協力、教育と技能の発展、地理的・歴史的な結びつきが、この強固な関係の基盤を形成しています。

さらに、特に、日本とベトナムの歴史的な交流において、軍事的な側面も重要な要素の一つです。

(8)歴史的な軍事的交流

①第二次世界大戦期
日本は第二次世界大戦中にフランス領インドシナ(現在のベトナム)に進駐しました。この時期、日本はベトナムの独立運動に一定の影響を与え、後のベトナム独立戦争(第一次インドシナ戦争)につながる政治的な動きに影響を与えました。

冷戦期
冷戦期には、日本とベトナムは異なる陣営に属していました。日本は西側諸国と同盟を組み、ベトナムは北ベトナムと南ベトナムに分かれ、北部はソビエト連邦や中国と同盟を結んでいました。この時期は、両国間の直接的な軍事的交流は限られていました。

ベトナム戦争後
ベトナム戦争後、日本はベトナムの再建において経済的な支援を行いました。日本はベトナムとの関係を改善し、経済援助を通じてベトナムの発展に貢献しました。

(9)現代における軍事的関係

①防衛協力
近年、日本とベトナムは防衛分野での協力を強化しています。これには、軍事訓練、防衛技術の交換、情報共有などが含まれます。

②南シナ海問題
日本とベトナムは、南シナ海における中国の軍事的な活動に対する共通の懸念を共有しています。この問題は、両国間の防衛協力を促進する要因となっています。

③装備と技術の提供
日本はベトナムに対して、海上保安や防衛に関する装備や技術の提供を行っています。これは、ベトナムの防衛能力の向上と地域の安定に寄与しています。

これらの歴史的な経緯と現代の軍事的協力は、日本とベトナムの関係が単なる経済的な利害関係とは言えない、深い絆を持つことを示していると思います。

ベトナムは、社会主義の国であるにもかかわらず、ベトナム戦争後の独立と復興は、かつての軍事同意であったロシアと北朝鮮、シリアといった共産主義、社会主義国だけを頼っていては、発展は成し遂げられたかったと思います。ドイモイ政策への舵をきりました。

現在のベトナムの状況が、理想的なものではなく、多くの困難を抱えたままであるとベトナム国内での専門家からの発言が多くあります。

ただ、ここまでの急速な発展は、以前は、国際的な評価では、予想出来てはいなかったと思います。

日本はもちろん、アメリカなど自由主義国との交流も盛んに活発に行い、日本だけではなくて、アメリカ、中国、アフリカやカナダ、オーストラリアなど、様々な国への、ベトナムの首脳や高官の相互訪問は頻繁に行われ、政治的な信頼関係を構築しています。経済的な相互依存、文化的な交流、政治的な協力、教育と技能の発展、歴史的な結びつきを活発に行い続けている国際的な、稀な、東南アジアの国です。

日本とベトナムの歴史的な交流は、軍事的な側面も含めて多岐にわたります。

これらの事例や分析を通じて、日本とベトナムの関係がどのようにより親密になった状態に至ったかについて、理解が深まれば幸いに感じます。
文化的な交流、政治的な協力、教育と技能の発展、地理的・歴史的な結びつきが、日本とベトナムとの強固な関係の基盤を形成しています。

最後に

ベトナムのドイモイ政策と労働力輸出戦略は、国内経済の安定化と成長、国際経済への統合を目指す重要な手段でした。現在もそうなっています。

日本はこの戦略において重要な役割を果たし、両国間の経済的・社会的な関係を強化する基盤となっています。この関係は、両国にとって相互に利益をもたらすものであり、今後も続くことが、期待されます。

日本は、将来の日本の社会のために、
より良いしくみを構築できるはずです。

お読みいただき、本当にありがとうございます。

※昨日と今日は、札幌市あいの里
アイアジア国際研修センターは
防災訓練
法的保護の講習が行われました。



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