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第8章 医療の現状と課題―地域格差を超えて

「ラオスの心—伝統、変革、そして未来を見つめて」シリーズ❽ 【2,354字】

第8章 医療の現状と課題―地域格差を超えて

 ラオスは急速に成長する東南アジアの一角として、その医療システムの改善にも取り組んでいます。根深い現実の問題が改善されずに残ってあるのです。

 首都ビエンチャンやルアンパバーンなどの都市部では、国際的な援助や投資によって、病院やクリニックの数が増え、医療機器や薬品の供給も向上してきました。

 しかし、その光景からわずか数百キロ離れた農村部や山岳地域では、依然として医療アクセスに深刻な課題が残されています。多くの村では、基礎的な医療サービスさえも受けることができない状況が続いています。



 ラオス北部の小さな村では、診療所の数が限られ、多くの住民は病気やけがをしても、何時間も歩いて医療施設に向かわなければならない現実があります。



 ある村の母親は、「子どもが高熱を出したとき、山を越えて遠い町の病院に連れて行かなくてはならなかった。途中で症状が悪化し、命の危険を感じた」と語り、医療施設へのアクセスが困難であることの深刻さを訴えています。

 このような状況は、ラオス全土に広がっており、農村部に住む多くの家庭が日常的に抱えている問題です。

 ラオスにおける子どもの死亡率は、依然として高い水準にあります。特に農村部では、適切な医療ケアや予防接種が不足しているため、乳幼児死亡率が上昇しています。

 国際的な統計によれば、ラオスの乳幼児死亡率は1000人あたり約45人と、世界平均を大きく上回っています。

 これには、感染症や下痢性疾患が大きな要因となっており、清潔な飲料水や基本的な衛生環境の整備が不十分なため、子どもたちが病気にかかりやすい状況にあることが背景にあります。

 特に深刻なのが、食事の衛生面です。農村部では、安全な水の確保が難しく、井戸水や川の水をそのまま飲料水として使用することが一般的です。



 この水が汚染されている場合、下痢やデング熱、コレラといった病気を引き起こし、特に抵抗力の弱い子どもたちに大きな影響を与えます。

 また、十分な栄養が取れないために免疫力が低下し、病気に対する抵抗力が落ちるケースも多く見られます。

 栄養失調が原因で成長が遅れる子どもたちも多く、国際援助団体が提供する栄養支援プログラムが欠かせない現状です。



 医療の地域格差は、単に施設の不足だけではなく、医療人材の偏在にも関係しています。都市部には高度な医療知識を持った医師や看護師が集まりますが、農村部では十分な訓練を受けた医療従事者が非常に少なく、診療所には最低限の医療機器しか備わっていないことが多いです。

 多くの場合、緊急時には都市部の大病院に搬送される必要がありますが、悪天候やインフラの不備により、迅速な搬送が難しく、命に関わる状況が生じることもあります。

 政府と国際援助団体は、こうした医療アクセスの格差を是正するために、いくつかの取り組みを行っています。

 その一つが、移動医療チームの派遣です。医師や看護師、薬剤師からなる移動医療チームは、医療施設がない地域や交通が不便な山岳部の村々を訪れ、予防接種や簡易診療を行っています。

 この取り組みによって、遠隔地でも基本的な医療サービスを受けることができるようになりつつあります。

 移動医療チームに同行した状況では、医師が小さな村の広場にテーブルを並べ、村中の住民が次々と集まり診察を受ける姿は、彼らにとって医療がいかに重要な存在であるかを物語っていました。

 ある母親は、「今まで一度も医者に診てもらったことがなかったが、ようやく安心できる」と涙ながらに語っていました。

 さらに、農村部の医療インフラを強化するために、新しい診療所の建設や既存施設の改修も進められています。



 国際援助団体の支援を受けたプロジェクトでは、太陽光発電システムを導入し、電力の安定供給が難しい地域でも診療所が24時間稼働できるようにする試みも行われています。

 また、携帯電話の普及に伴い、遠隔地の医療施設から都市部の病院へリアルタイムで患者のデータを送信し、適切な診断を受けることができるテレメディシン(遠隔医療)技術の導入も検討されています。これにより、地元の医師が専門的なサポートを受けつつ、患者に対する迅速な対応が可能となるでしょう。

 ただし、これらの取り組みがすべての農村部に行き渡るにはまだ時間がかかり、資金面からの政府の努力と国際的な支援が欠かせません。
 
 ラオス政府は、今後も医療インフラの整備と医療人材の育成に力を入れる方針を示していますが、限られた財政資源の中でどれだけ効果的な施策を展開できるかが問われています。

 ラオスの医療の未来を考えると、地域格差を埋めるためには、さらなる資金投入と人材育成が必要不可欠です。

 特に、次世代の子どもたちが健康に育つためには、適切な医療と衛生環境の整備が急務であり、ラオス全土での医療改善が進むことが国全体の発展のためには大きく左右します。



 私たち日本に豊かな財政支援が出来る状況にあれば、ラオスの医療改善が飛躍的に進むのだと思いますが、現在の日本の私たちにはその余力はなくなってしまっていると思います。

 ベトナムの隣国のラオスに対する日本政府の外交に注目していきたいです。


みなさま、9月もとてもお世話になりました。

来月もどうぞよろしくお願いいたします。


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