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【詩】現代詩人をゴレンジャーに例えたら?~長田弘は寡黙な緑レンジャー?

現代詩人をゴレンジャーに
例えたらどうなるでしょう?(笑)
私が一番好きな長田弘さんは
渋い存在だったかもしれません。
赤レンジャーではなく、
ブルーでもなく、イエローほど
変なキャラだちもなく、
緑レンジャー辺りでしょうか。

ずっと詩歌界のスター?
ヒーロー的な存在だったのは
なんと言っても谷川俊太郎さん。
デビュー以来、ずっと
幅広い読者を惹き付けてきた人です。
現代詩界の赤レンジャーは、
谷川俊太郎しかいないでしょう。

赤の脇にいながらずっと
輝き続けたのは、誰か?
ハートフルな詩でファンが
多かった吉野弘さんかな?
青レンジャーは吉野弘さん、
ということで。

桃レンジャーはどうなるかしら?
茨木のり子さんか、
石垣りんさん。
正直、この女性詩人は
あまりに豊潤な世界で、
どちらか優劣はつけられない。
桃レンジャーは
特別に2人とさせてください。
(笑)

1980年代に『深呼吸の必要』で
一気に国民的な詩人となった
長田弘さんは、中身は
谷川俊太郎さんにも
ひけをとらないまばゆさ。
吉野弘さんにひけをとらない
温もりと温かさ。
茨木のり子に匹敵する
毅然としたストイックさ。
でも、どこか寡黙さが漂う不思議な人。

長田弘さんは、
絵本のような大きなサイズの
詩集がよく似合う人でした。

そんな長田さんも、
2015年に亡くなり、
いよいよ文庫本が出始めている。
長田弘さんは大きなサイズの
本にこだわりを持ってた人でしょう。
だから、文庫で手に入ることを
素直には喜びにくいけど、
それだけ長田さんが亡くなって
時間が経ったのでしょう。

そんな長田弘さんの詩集
『食卓一期一会』も
今は文庫で身近に読める時代に。
(ハルキ文庫から2冊出てます)

この詩集は、食べ物と言葉を
限りなく密接に組み合わせた
不思議な詩集です。
言葉と食べ物をぐつぐつ煮込んだ
美味しい味の作品ばかり。
ちょっと長いですが、
紹介させてください。


『食べもののなかには』
食べもののなかにはね、
世界があるんだ。
一つ一つの食べもののなかに
一つ一つの生きられた国がある。

チョコレートのなかに国はあるし、
パンにはパンの種類だけの国がある。
真っ赤なビートのスープのなかには
真っ赤に血を流した国がある。

味があって匂いがあって、物語がある。
それが世界なので、世界は
食べものでできていて、そこには
胃の腑をもった人びとが住んでるんだ。

テーブルのうえに世界があるんだ。
やたらと線のひかれた
地図のなかにじゃない。
きみたちはきょう何を食べましたか?
どこへどんな旅をしましたか?


ハルキ文庫『食卓一期一会』p82~83

どうです?もうこの詩集を読みたく
なっていたりしませんか?
他にもユーモラスな食べ物の詩歌が
たくさん並んでいます。
オススメです。

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