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南江 幾乃
2024年9月12日 23:13
目のくりっとした、可愛いい、活発な女の子だった。中学校の同じクラスなので、何かあれば、別に気にすることもなく教室では喋っていた。 ある時、どこかで傷つけたのか、自分の左手のくすり指から血が出ていた。こちらは全く気付かなかったが、「あれ、南江くん、指を怪我しているよ」「え?」「絆創膏を貼ってあげるから、ここに座って」と、教室の机をはさんで、椅子に座らされる。 小さな花柄の小
2024年6月4日 01:34
昔、義母は小さな呉服店を一人で営んでいた。利発で、明るく、いつも店をのぞけば、笑顔で、「よく、きたね。 こっちへ来てコーヒーを飲んでいきなさい。 雨に濡れるから早くお店に入って」と、たとえ、他に客がいても私達を丁寧に迎え入れてくれた。なぜか、訪れる日は雨の日が多かった。 数年前から、日常生活に支障が出始め、養護老人ホームに入所した。まだ、自由に面会ができていた頃は、今まで
2023年7月11日 01:04
庭に、ハナミズキの木が一本植えてある。いつの間にか、高さが三メートル近くになっている。 子供が小さな頃。可愛いピンク色に咲いた花を見ては、親父に、「おじいちゃん、これハナミズの木よね」と、まさに、鼻の下に鼻水を垂らしながらよく言っていた。「そうそう、ハナミズの木だよ」と穏やかに笑っていた。 その親父が庭の手入れをする時、いつも青い手袋をはめていた。そして、大きく背伸びをして
2023年12月19日 12:48
小学校、中学校までは、給食だった。飢えた時代だったので、給食が余ることなどなかった。クラスの誰かが休み、おかずが余ってしまうと、決まってじゃんけんをしてクラスの者で取り合いになった。 嫌いなおかずもあったが、食べ残すことなどなかった。日々異なるメニューが、昼の給食をとても待ち遠しく楽しみの時間へとなっていた。殆どのおかずは美味しかったと思う。 大学4年生の時、卒業した中学校を訪れる
2023年12月14日 19:40
夏ビール瓶の蓋を、なぜだか栓抜きでコンコンと叩き、蓋を開ける。机の上にあるガラスコップに注ぐ。泡が勢いよくあふれる前に注ぐの止める。コップを持ち、一気に飲む、泡が口の周りについている。「ぷは~」実に美味そう。冬一升瓶の酒を徳利に注ぎ、水を入れたヤカンの中に徳利を入れる。ヤカンが沸騰すると徳利を出して、おちょこに注ぐ。口びるをゆっくりとおちょこに近づけ、なめるように飲む。「ん
2024年9月21日 23:27
高校3年生になると受験のために、同じクラスでありながら科目によっては、理科系と文科系に分かれて授業を受ける。 理科系と文科系の違いをロクに知ろうともしなかったが、数学ができなかっただけで、ただ単純に文科系に決めた。 当然、生徒の数がそれぞれ半分になるわけだから、他のクラスの文科系の生徒と一緒に授業を受けることになる。 自分は2組だったので、授業は1組の教室で受ける。 ある時、1組の教
2024年6月27日 10:35
朝起きる。いつものようにカーテンを開き、窓から庭を見る。と、一輪の小さなピンク色の花が咲いている。「ん?何?」ナント、コスモスが咲いている。そういえば、二か月前に道の駅で買った苗だった。この秋に咲くだろうと鉢に移していたものだった。まだ6月。なのに、咲く?秋桜?夏桜になっちゃたなあ。まあ、どっちでもいいけど、今咲くと秋には咲かないんだろうなあ。一輪の花が咲くことを、日に日