愛甲 綺世

アイコウ アヤセ

愛甲 綺世

アイコウ アヤセ

最近の記事

映画『まる』を観た

ネタバレあり まると、アリと、寿司。 何かを作り出す、クリエイターの苦悩を中心に描かれた話だと思った。だからこそファンでない自分から見ても、クリエイター気質で芸術肌な印象の強い堂本剛が主演であったことに意味があると思えた。 沢田からは野心なんて感じられなかった。秋元にその実力やアイデアを搾取される側。それに反抗的な態度を表す事もない。側から見ればそれは文句を言わないいい駒として動いているようにも見えて、それが矢島からすれば「沢田さん見てるとなんか辛いです」という言葉で表

    • 映画『ゴジラ-1.0』を観た

      ネタバレあり ゴジラがただ街を壊していく映画ではなかった。死に損なって後悔している敷島が、生きる覚悟をする話だった。 特攻隊として死することも、終盤と比べればまだ小さかった頃のゴジラに攻撃をして殺されることもできなかった敷島にとって、それらはトラウマであり生きる事に後ろめたさや負い目を感じるものだったのだ。典子と籍を入れなかったのも、明子にずっと「俺はお父さんじゃない」と言っていたのも、全部「俺の中の戦争が終わってない」というその言葉に集約されていた。 だからこそ最後に

      • 映画『四月になれば彼女は』を観た

        ネタバレあり 一言でまとめるなら、過去の失敗を再び起こさない様にと行動する主人公フジ、過去の恋を思い出し新しい道へと進もうとする元恋人ハル、ハルによってフジとの恋や愛を受け入れる弥生のお話。 ラストまではずっと、ハルはまだフジのことを忘れられていなくてフジも同じなのかと思っていた。弥生が家を出た理由もそれだと思ったけれど、違かった。 弥生はずっと恋だとか愛だとかの幸せが終わる事を恐れていたからこそ、結婚前の互いに冷めてしまった様な行動に不安になって家を出たのだろう。 ハル

        • 映画『PERFECT DAYS』を観た

          ネタバレあり 好きな音楽をカセットで聴いて、お昼の時に神社の木の木漏れ日をフィルムをセットする型のアナログなカメラで撮って、夜は寝る前に本を読みながら寝る、使う車の鍵は差し込み型だし携帯電話はガラケー、榎本さんが「今キテる」と言う様な古くてアナログな物に囲まれた役所広司演じる主人公は、きっと歳をとっていく過程で好きなものを身近に置いて残してきたのだと思った。 大きなイベントがあるようには見えないその生活を、それでも観てる側が羨ましく魅力的に感じるのは、現代を生きる自分にと

          映画『哀れなるものたち』を観た

          ネタバレあり ベラは結局最初から最後までずっと好奇心に囚われた人間だったなというのが全体的な感想。 時間が経ったり世界を見たりする事で段々と知識を得ていくベラに対して、自分はずっとヒヤヒヤしたし博士達のように微笑ましくは思えなかった。特に性的な発見や飲食物への興味、貧困民の存在については、ベラの中でも成長が遅いように思えた、人への理解や疑いなどの面、良くも悪くも純粋なその性格故に、それらをベラが知る事に対して積極的にはなれなかった。だからこそダンカンと駆け落ちしようとして

          映画『哀れなるものたち』を観た

          映画『BLUE GIANT』を観た

          ネタバレあり 正直ジャズに詳しくなければ楽器も分からない人間で音楽素人だけど、この映画は知識がなくても分かるし面白かった。沢辺や大がどれだけ凄いのかなんて自分には分からなかったけど、その分彼らの演奏を聴いた人の反応でそれを示してくれたので理解できたし、よく考えればこれは原作が漫画で音が聞こえない中で進むので、その表現を怠ってる訳ないよなと。JASSの初めてのライブで、「もしかして玉田のドラムズレてるんじゃないか」と思ってる所でそれを観客が言ったから、その後聴いていても「やっ

          映画『BLUE GIANT』を観た

          映画『カラオケ行こ!』を観た

          ネタバレあり Twitterでみた 「これはポップに描かれた、ヤクザによる未成年へのグルーミング」 というのに納得した。気がつけば聡実くんはしっかりと狂児さんに懐いていたし、その流れでヤクザの人の中で知っている人もできてしまっていたし。 狂児さんは初めからパーソナルスペースが狭くて距離の詰め方がおかしかったけど、それが序盤はヤクザの怖さ、中盤はヤクザの中でも安心できる存在、最後の方は聡実くんの仲の良い人という風に捉えられて良かった。狂児さんの、いい人そうだけど危ない感が漂

          映画『カラオケ行こ!』を観た

          映画『夜明けのすべて』を観た

          ネタバレあり 萌音ちゃんがPMSの影響で怒りだす瞬間のスイッチが入ったのが観ていてすごくわかりやすくて、「あ、今から怒るな」っていうのが予想できたのが凄かった。 松村北斗は最初にあからさまに会社の他の人と自分の間に線引きをしていたのが分かりやすかったから、段々と会社に馴染んでいくのが嬉しくなった。挨拶の声も大きくなって作業着も着る様になって、最終的に皆んなに差し入れを入れて、エンディングでは「コンビニ行きますけど何か欲しいものありますか」って聞いていて良かった。 情景として

          映画『夜明けのすべて』を観た

          映画『ラストマイル』を観た

          映画を観てから大分時間が経ってから書いてるので、とっても記憶が曖昧&感想も薄い ネタバレあり 予告を観た時に、エレナの「止めませんよ、絶対に」という台詞に驚いた事を思い出した。通常、会社や公共施設内に爆破予告がされたら全て封鎖し関係者も家に帰すだろうに、と。まあフィクションだし、そこで全て解決させたら話にならないしなと考えていたが、映画を観た後にもう一度観ると、この台詞がデイリーファーストの状態を表していたのだと思えた。 エレナという人間は、一度嫌われたらその後見てもら

          映画『ラストマイル』を観た

          映画『コーヒーが冷めないうちに』を観た

          ネタバレあり 前半の3人の過去に戻る編と有村架純の過去編の二部構成みたいな感じだったが、両方良かった。 個人的には松重豊の話が一番辛かったというか、心に来た。 奥さんが旦那さんの嘘つくのが簡単にわかっちゃう感じとか、 「看護師として私と接してしまうなら、離れていいよ。ずっと貴方の妻でありたい」 という奥さんの考えとか素敵だったし、旦那さんもその覚悟がついて良かったと思う。 それから他の人の話で言えば吉田羊の話で、ずっと訳知り顔でカフェにいたのに妹の事自分の事になると幽霊

          映画『コーヒーが冷めないうちに』を観た

          映画『きみの膵臓をたべたい』を観た

          ネタバレあり 『きみの膵臓をたべたい』は病気をテーマにしている様で実は人間の命は病気に関係なく急に終わってしまうという事を感じる最期だった。 彼女が死んでしまった随分先の未来を映す事によって世界の進みを感じるのは少し寂しいと思いつつ、主人公は結局映画の最後まで彼女によって社交的な方向に変えられているという点、自分だけでは大きな一歩を踏み出せてない感じが少しだけ残念。 タイトルに関して 「該当する臓器の肉を食べる事によって病が良くなる」 という話と 「死んだ人の体の一部を

          映画『きみの膵臓をたべたい』を観た