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広島県人に読んでもらいたい目からウロコの書籍「ある晴れた夏の朝」
本の持つ「力」という意味で、広島県人だけでなく、すべてのクリエーターに読んでもらいたい本です。
この本を借りてきたのは3度目。また読みたくなって、読んでしまった。
大学で、広島を離れて関西で暮らし始めた時に、8月6日は、日本中で特別な日ではなかったことに驚いたけれど(って、広島で、8月9日が、8月6日と同じような扱いではなかったことを考えれば当然だけど)、海外で暮らすようになって、8月6日を喜ぶような人たちがいることには、もっと驚いた。
ニュージーランドの職場で、8月6日の日本時間の午前8時15分に黙とうをしたいと言うと、実際に、ニュージーランド人の同僚に、下記のようなことを言われたことがある。(※勿論、すべての人がそうではなくて、一緒に黙とうしてくれた同僚もいる。)
「It's the happiest day!」(一番幸せな日)
「That's the best thing ever happened!」(今までで最高の出来事)
私が広島県出身だと知った上で、面と向かってそう言われた。
そんなに昔ではなくて、十数年前のこと。
理由は、みんな、原爆投下で、たくさんの命が救われたと教えられて育ってきているから。
20年くらい前には、ラジオのトークバック(リスナーが電話で参加して意見を言うコーナー)や雑誌の読者の声のようなところで、同じような意見を聞いたり見たりすることがあった。
社会的風潮なのか、インターネットで表面には出て来なくなったからか、いつの間にか、そういった声を聞いたり、目にしたりすることはなくなったけれど。
実際に何が起きたのかとか、被爆者の方々の話を伝えて悲惨さを分かってもらえさえすれば、そんな声はなくなると思っていたけれど、英語で、ニュージーランド人の人たちと、一歩踏み込んだ話ができるようになればなるほど、それでは、何も変わらないことが分かってきた。
将来、そんな日は来ては欲しくないけれど、同じような状況が起きたら、また使用するべきだと、平気な顔をして言う人たちを見ながら、そう思う。
そういった言葉を聞きながら、基本的に、自分たちにさえ被害がなければ、将来的に使用してもいいという考え方が垣間見えてくる。
誰にも、どこの国の人たちにも、同じような思いをして欲しくないという広島的考え方とは、根本的に違う。
どちらの考え方がいいとか、悪いとかじゃなくて、お互いの考え方が違うということを、しっかり理解しておく必要があると思う。
公の場で質問すれば、平和な方がいい、使う必要がなければ、使わない方がいい、と、誰に聞いても答えると思う。
だから、同じ考えなのかなと思ってしまいがちだけれど、何かが違うなと、ずっと思ってきた。
日本とニュージーランド、それぞれの国で過ごした年数が同じくらいになった頃、ようやく、見えてきたことがあって、そんな時に出合ったのが、この本だった。
あぁ、そうか、理由はそれだ!
著者である小手鞠 るいさんが、このストーリーの中で伝えて下さったメッセージに、共感すると共に、目からウロコで納得してしまった。
この「ある晴れた夏の朝」は、アメリカの8人の高校生が、広島と長崎に投下された原子爆弾について、肯定派と否定派に分かれてディベートするというストーリー設定。
アメリカの高校生と言っても、主人公の日系アメリカ人のメイ他、それぞれが、人種的に違ったバックグラウンドを持っていて、いろいろな視点が違和感なくストーリーの中に盛り込まれている。この辺りも、とっても上手いなぁと思う。
日本を離れるまで、私が全く知らなかった海外からのヒロシマへ向けた視点を、この「ある晴れた夏の朝」を読むことで、みなさんにも是非知っていただきたいと思う。
自分たちの視点を相手に伝えることも大切だけれど、相手の視点を知る努力も同時にしなければ、結局、分かり合うことも、より平和な世界へと進んでいくことも、できないのだと思う。
ロシアによるウクライナに対する侵攻から一年以上が経過しても、なお、平和な未来が見えてこない今、どうしても、また読みたくなってしまった。
この本の中のディベートのように、最後は、平和な未来へと、すべての人たちの意見が合意することを願ってやまない。
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