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いっき82
2024年11月20日 05:45
【約2300字/6分で読めます】自分が住んでいる部屋の前の住人を想像してしまうことはないですか?私は配信サービスなどを利用して、昔の映画やドラマを観たり、昔の音楽を楽しむことが多いのですが、そんな時に想像してしまうことがあるんですよね。「もしかして、私よりも前の住人がこの部屋で同じものを観ていたかもしれない(あるいは聴いていたかもしれない)」私が住んでいるのは、築30年程度の借家なの
2024年11月6日 06:13
【約1300字/3.5分で読めます】ジョージ・ソーンダーズは今、アメリカで注目されている作家本書の訳者あとがきによると、アメリカでは短編小説の名手として知られ、「作家志望の若者にもっとも文体を真似される作家」なんだそうです。本作も発行されるとすぐに、『ニューヨーク・タイムズ』で絶賛され、その年のベストセラーリストをトップで独走したとのことです。そんなことを知らずに読みはじめたがとにか
2024年9月11日 05:45
地を制した人類は天へとその触手を伸ばした本作を知ったのは、海外文学を多く紹介した『やりなおし世界文学』という本を読んだ時でした。この本の中で、「大陸を制した人々が 今度は上を目指した」というような紹介がされていたんですね。私は建築にも興味があって、特にそびえたつ高層建築には憧れすらあります。本作はそんな高層マンションを舞台にした物語です。ロンドンの中心部に
2024年8月14日 05:41
「平成の家族小説」シリーズ1作目本作を手掛けた奥田英朗は、20代の頃から好きな作家でした。以前、「エッセイの研究」というシリーズで、彼のエッセイを取り上げたことがありましたが、意外にも note にやってきてから、奥田英朗の作品をメインで取り上げるのははじめてです。本書は短編集で、各話につながりはありませんが、「平成の家族小説」シリーズの1作目という扱いのようです。
2024年7月9日 05:43
一度は訪れてみたい武蔵野国木田独歩(くにきだどっぽ)の『武蔵野』は中学時代に知り、いつか読みたいと思っていた作品です。中学時代の私が本作を知ったきっかけは、『鉄腕アトム』でした。『鉄腕アトム』「赤いネコ」の冒頭で、手塚治虫が登場し、『武蔵野』の一文を引用していたんですよね。(作中にも武蔵野が出てくる)「武蔵野」という地名は、その時に知ったのですが、とてもインパ
2024年4月24日 05:37
たまたま手にした本を読んでみた年末年始にブックオフで「本おみくじ」というものがあり、買ってみました。箱に1冊の本が入っていて、中身はわかりません。私が買った箱の中から出てきたのがこの一冊でした。まったく知らない作家さんですし、たぶん、こんな機会でもなければ、手に取ることもなかった本です。しかし、これがおもしろかったので、紹介させてください。本作の主人公は小学
2024年3月20日 06:10
日本の SF 御三家・小松左京をはじめて読む著者の小松左京は日本の SF 御三家と称される大家の一人です。(他の二人は星新一、筒井康隆)小松左京の作品は、はじめて読みましたが、非常に高度な科学の話がわかりやすく書かれており、最後まで楽しく読むことができました。本作は氏の代表作であり、長年にわたって、さまざまな映像作品にもなっています。近年は、TBS の日曜劇
2023年10月15日 05:56
早世の作家が残した作品群『檸檬』は著者の代表作でもある短編小説で、はじめて刊行された創作集のタイトルにもなっています。この作品は、以前から知っており、書店の本棚の上に「レモン爆弾」なるものを置く、という結末を聞いて、「一体、どんな話だろう」と興味を惹かれました。実際に読んでみると、精神を患った主人公が京都の街中をうろつくさまが描かれた作品で、街中で観た風景の描写
2023年10月2日 05:44
ブラジルから生まれた世界的な大ヒット作本作は'88年にブラジルで出版され、'93年にアメリカで出版された後に、67か国語に翻訳され、世界で3000万部売れた大ヒット作です。内容は羊飼いの少年が宝物を追い求めて旅をする物語になっています。ファンタジーの世界をベースにしていますが、自己啓発の要素も強い作品です。王様と出会い、少年の壮大な冒険がはじまるスペインの羊飼いだった
2023年7月31日 06:11
ノスタルジーに浸る重松清の作品を読むのは2冊目です。重松清といえば、『流星ワゴン』('02)『とんび』('08)といった映像化作品が多い作家でもありますよね。数年前に私が読んだのは『トワイライト』という作品でした。
2023年1月3日 05:45
謎に包まれた江戸時代の絵師たち喜多川歌麿は、江戸時代の浮世絵師です。生年は1753(宝暦3)年、没年は1806(文化3)年。一般的にはこう言われていますが、詳しい生年や出生地、出身地については不明で、生年については、亡くなった年の数え歳からの逆算で想定されたものです。歌麿に限った話ではなく、このように江戸時代の絵師は、経歴が不詳の方が多いんですね。特に有名な
2022年12月13日 05:45
シリアルキラーの息子子どもにとって「親」という存在は絶大なものです。時には、自分を支えてくれるバックボーンの一つであり、時には、乗り越えなければならない脅威としても存在します。本作の主人公の父は、圧倒的に後者の存在でした。なぜならば、彼の父は、21年間で3桁におよぶ殺人を犯し、「21世紀最悪の連続殺人鬼」と呼ばれる男だったからです。主人公の頭の中には、
2022年8月23日 06:18
かわいらしい表紙に惹かれて本書の表紙を見た時に、ビビッとくるものを感じました。これまでに表紙やタイトルに惹きつけられて思わず手に取った本がものすごく自分に合う本だったというのは、何度かありましたが、これもまたそんな一冊でした。『解錠師』とは、なんとも渋いタイトルですが、表紙のかわいらしさがそれを中和している印象ですね。原題は『The Lock Artist』、
2022年2月11日 07:26
対照的な秋山親子戦後を代表する時代小説家、池波正太郎の人気シリーズ『剣客商売(けんかくしょうばい)』の第二巻です。このシリーズは、老剣客・秋山小兵衛(あきやまこへえ)を主人公とする連作短編小説です。’72~’89年に『小説新潮』で連載されていました。秋山小兵衛は、60代で隠居生活を送る身でありながら、「おはる」という40歳以上も年下の妻を持つ、モテモテの男です。