孤独と、僕にとっての表現の理想の形
孤独に苦しんで生きてきました。三十年ほどの人生のなかで、僕を最も苦しめたものは孤独だといってもいいだろう。
孤独にもいくつかの種類がある。僕の場合は物理的に孤立していたわけじゃない。周りに友達と呼べる人間がいることも多かった。
ひとりでいるときよりはむしろ、多人数でいるときに孤独を感じた。自分は無理をしているな、状況に合わせた擬態をしているな、それはつまり自分を殺しているな、と感じていた。
僕は創作においては我が強いところがあるかもしれないけど、現実の人間関係においてはむしろ他人に合わせるタイプだ。空気を読もうとしている。
素の自分を出していこうと格闘していた時期もあったが、良い結果にはならなかった。僕という人間はあまり周囲から歓迎されないらしい。
そうして結局自分を押し殺し続けた結果、感情がうまくコントロールできなくなっていった。何もかも否定したいような気持ちが強くなっていた。苦しくて仕方がなかった。息が出来なかった。当時の僕の心は闇と欠乏に囚われていた。
僕にとっての表現の理想の形
そんな受け入れられるものが非常に限定されていた時期の僕を大きく支えていたものが、音楽だった。Syrup16gやTHE BACK HORN、ムックといった邦楽ロックのアーティストだった。
僕は歌詞を重視して聴くタイプで、彼らの言葉はまさしく詩だった。彼らの歌詞に命を救われていたといっても過言ではない。現在の自分を大きく支える短歌やHIPHOPには、まだ出会っていなかった。
彼らの作品が、僕にとっての表現の理想の形に近い。特に初期の怒りと孤独に満ちた作品群を好ましく感じる。
二週間ほど前に、僕は『鬱と就職活動と友の自殺と』という短歌の作品を公開した。
タイトルには重い言葉がならんでいるけど、自己の体験を消化して詩としてしっかり磨き上げたつもりだし、連作という物語としても構成を熟慮した。
渾身の一作だ。現在の自分の全力を尽くしたつもりだ。この作品の制作によって、ひとつの時代に一定の決着がついたような感覚があった。
(とはいえ決着をつけないといけない出来事はほかにもまだ自分の中に存在し、フラッシュバックや体調不良という形で僕を苛んでいる。誰にだって生活はある。)
ようやく、本当にやりたかったことの第一歩が踏み出せたということなのだろう。万人向けでもなければ、ハッピーな内容でもないけれど、刺さる人には刺さる仕上がりにしたつもりだ。
この作品がとにかくたくさん売れればいいとは思っていないけど、届けたいひとには届けたい。冒頭の11首は無料なので、良かったらそこだけでも読んでみてほしい。
様々なことをかんがみて今回は購入しないという判断にいたった場合でも、無料の11首の短歌のなかに響くものがあったなら、スキを押してもらえると励みになります。
僕はこの作品が、同じような苦しみや孤独を抱えるひとびとのささやかな助けになることを願っています。