懐かしい『鳥かごの詩』
北重人さんの『鳥かごの詩』(小学館)を懐かしく読みました。懐かしいというのは、ぼくも学生時代の一時期、主人公康夫のように新聞販売店に住み込みで働いていたことがあるからです。都合二年にも満たない期間だったけれど、あの日々の印象は強烈で、良い意味でも悪い意味でも今日のぼくがあるのは新聞屋体験のおかげです。
個性的な面々が顔を揃えた店にやくざのタケシが康夫を探して現れた時、仲間たちはそれぞれに康夫をかばい、タケシに相対する。社会の吹きだまりにおし込められているような彼らが、て