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新編 木漏れ日の下で

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1999年に発表した電子ブック『木漏れ日の下で』(FDに収められたttzファイル。2001年には増補改訂版を『ひとりの夜の愉しみは』として発表)の新版を編もうとする試み。今日まで…
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記事一覧

ヴィク、少しは甘えたら?

 本を読むきっかけのひとつに、信頼できる読み手に導かれて、というのがあります。もちろんそ…

hisahisa67
1年前

『サーカス放浪記』。そして我が小さき放浪

 裏話というものは、おもしろいものです。テレビのワイドショーの低次元なのぞき趣味は別とし…

hisahisa67
1年前
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『マチョ・イネのアフリカ日記』再読

 大学で勉強することの意味って、何? いわゆる指定銘柄大学の学生なら、その学校に入ったこ…

hisahisa67
1年前
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こまつ座公演『雨』を観て

 十月二日、水曜日。こまつ座第四十二回公演『雨』(作/井上ひさし、演出/木村光一、出演/…

hisahisa67
1年前
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『国境の二人』 園山俊二

  園山俊二さんがなくなって、もう四年にもなるんですね。月日の立つのは、本当に早いもので…

hisahisa67
1年前
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ぼくもまた、少年H

 こんな一節なら、多くの人は何気なく読みすごすでしょう。でも、ぼくは違うんだな。身に覚え…

hisahisa67
1年前

少年Hの怒り

 『少年H』下巻は、まさにその当時を生身の体で「生きた」人間でなければ書けない緊張感に満ちていて、いつまでもぼくを解放してくれません。命の場……というか、人間が生きるということそのものを、直視させられるのです。  ただでさえ、少年が大人になるとき、また学校の生徒が社会へ出るとき、人は理不尽な壁にぶつかり、戸惑うものです。まして敗戦前後ともなれば、受け皿の大人社会自体が混乱の真っただ中。少年の怒りを、まともに受け止める壁さえなかったのかもしれない。あるのは、得体のしれない、ヌエ

井上ひさし『本の運命』

 遊びのない服って、キュークツで着にくい。遊びのないブレーキって、危険。社会というか、世…

hisahisa67
1年前
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旅する巨人

 最近涙腺が緩くなってきたように感じます。年のせいでしょうか。  テレビでいろいろな人た…

hisahisa67
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坂本九/トリビュートアルバム

 九ちゃんが飛行機事故でなくなったと聞いたその日の夜(一九八五年八月十二日)、ぼくは布団…

hisahisa67
1年前

日本人の美意識は……

 日本人の美意識というと、ぼくたちはすぐに「わび」とか「さび」、あるいは「あはれ」などを…

hisahisa67
1年前

ケルト、そして北原先生のこと

 ケルト美術展が開催されています。ブームとはいかないまでも、日本でもケルトはかなり一般的…

hisahisa67
1年前
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スペンサーとの再開

 やあ、おひさしぶり。相変わらずですね……と言いたくなる、私立探偵スペンサー。  かなり…

hisahisa67
1年前
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子どもたちの歌声

 十一月一日そして二日は、子どもたちの通う学校の文化祭があって、ぼくも応援に行って来ました。  まず一日は小学校の学芸会。感心したのは三年生の合奏と歌でした。うまい……わけじゃない、でも、子どもらしい素朴な表現が、ぼくたち大人のひからびた心に慈雨(じう)のように染みわたります。  翌日は中学校の合唱コンクール。そう言えばぼくたちの頃にもあったな、と思いながら、可愛い顔だちの子もガラの悪い(失礼!)子もそれぞれ一生懸命に歌う姿を見ていると、技術うんぬんの話よりも、まず感動してし