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口語俳句 作品集 29 〜冬菊〜 

真夜なかよホットワインの赤と白

ベンチにもれきし落葉の並み木道

もともとはたねひとつぶか大根煮

それだけでいい甘鯛の吸いものは

今空のオリオンのものがたりこそ

とじひらくはねのおもさよ冬の蝶

しゃべり言葉の俳句について 〜会話体の作品〜 エッセイ

陽に燃えているかに燃えず大枯野

茶の花よ畑のとっぱずれの日なた

俳句について 〜俳句としての側面、一行詩としての側面〜 短文エッセイ

仕事結婚子そだて俳句はつしぐれ

ものごころついて今日まで冬暖か

千鳥とぶ沖がもっともかがやくと

しら息よ発つ船にあるこのからだ

吸いこんで肺つめたいかふゆの霧

漂泊ようみついばんでふゆかもめ

思い出はおもいだすだけ湯豆腐よ

片おもいしがち冬薔薇えらびがち

日がさせばそこらじゅうによ寒雀

木洩れ日のそらひらければ冬の滝

口語俳句 自選句集100句 〜しゃべり言葉の作品集〜

いきおいがひたとこおるか冬の滝

いちりんといわず古町のかえり花

いちりんのしみじみ自然かえり花

みずへって瀬のいくつもよ冬の川

木を伐っていまあきらかに眠る山

ふくかぜよ地べたにすわる冬の鹿

はなったりもどりきたりよ腕の鷹

ふゆすばる光としてのものがたり

鐘凍る明けぞらなんど撞いてもよ

小鳥来て尾羽をゆらすえださきよ

けぶる日よあめとひとつの大枯野

ラグビーよ組んで軋ます骨からだ

木の椅子も日褪せてゆくか冬の芝

熱燗よしんとひと夜のすごしかた

鯛焼きよ島までおなじかえりみち

ともに寝る銀河あかりの山やまと

いちぞくよいちりんとなく返り花

オリオンよ夜々沈黙のものがたり

流星ようちゅうの歴史またたく間

口語俳句 作品集 28 〜初しぐれ〜

引くたびに波打ちぎわの秋澄むか

あかとんぼしんと川瀬の石のうえ

冬木の芽ぜんてんをさす丘のうえ

しあわせに背まるめてこそ置炬燵

マフラーよ目を曇らせて街をみて

みさき沖くろが波打つふゆのあめ

マスクして自分じしんという宇宙

日のそらに孤独ただようわた虫よ