これ、と差し出してきた男を私は見た。とても堅気の風貌ではない。続く言葉は想像できる。「タダだよな?」だ。店長の私が、こんな輩に屈してはならない。「誤解を招いたようでしたら申し訳ありませんが……」男は首を振り私の言葉を遮った。「俺も根はワルじゃねえ。85%引きで買わせてもらうよ」
なんだかんだで豆乳を届けてもらえる事に。決まって安心したら少しお腹空いたなあ、鬼丸のちっさい呟きに、マスターが秒で持ってきたのはいつもの豆腐花。やっぱり美味いでしょ岸本んとこの豆乳。ああ、マスターは美味い物に関しては更に強気なんだな、俺の考えを察したみたいに、あの三日月の目(続)