愛なんて、夢なんてどこにもないのに、ただあるのはねじれた行為だけ。立ち入りを禁じる看板が視界にちらつき、警鐘を鳴らす。隣にいる彼は怪しく笑い、熱を持って腰を這う指が、私の輪郭をぼかしていく。朽ちたメルヘンな外装が、私を嘲笑うかのようで。今日もまた、泥被り姫はシンデレラの夢を見る。
君の首を締める夢を見た。どれだけ強く、きつく締めても君はヘラヘラ笑っていた。くっきり残る指の跡が脳裏に焼き付いたまま、君から離れることもできないまま。君に加害者意識はないらしく、わたしの被害者意識も消えない。別の時間軸で、お互いに傷をなめ合って、わたしたちはまだ生きているらしい。
ひたり、ひたりと裸足の足が水たまりを打つ。しとしとと降りしきる雨が、涙を隠すように、どんどんわたしを浸して行く。 雨に飲み込まれそうになるわたしに、誰かがそっと傘を差す。怪しく笑う"それ"に誘われ、わたしはまた、堕ちていく。いつまでも、過去に呪われたままだ。