私の純猥談 超々短編「赤い嘘と青い溜息」
悪い男、罪な男。私をその気にさせる癖に、火を付けた途端に、外方を向いてしまうのだ。なんて悪い男なのだろう。
今だって、私に火を付けさせておいて、自分は知らん顔をしている。まるで当事者では無い様な顔で、笑うのだ。なんだかそれも、大人の余裕に見えて煩わしかった。覗く八重歯も憎たらしくて、愛おしい。
赤く燃えた朝に、擬態する空っぽな天井が、無神経に問いかける。
答えならもう理解している筈なのに。どうして、幕を引く事が出来ないのか。
私の悪癖だ。「もう、潮時だ」なんて呟いても、青い溜