デビューしたころ「優しい人ばかりの作品ですね」と言われたことがある。この人は苦労や修羅場を体験せずに齢を重ねたな、と確信した。十分なほど人の醜さに翻弄されている人は多いはず。私はもうこりごりだ。癒しの世界の入ろうとする人に届く作品を書き、生きる力を共有する、そんな作家でありたい。