巡礼の手引き:スペイン サンティアゴ巡礼 3
巡礼準備あれこれ③
準備は基本的には普通の海外旅行と思えばいい。パスポートやクレジットカード、旅行保険、持ち物チェック。
しかし、巡礼なので、もう一つ。
巡礼手帳(クレデンシャル)だ。現地でも買えるが、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会で求めるものがいい。大抵の国の人は現地で求めるが、日本の物はデザイン性にも優れているので現地でうらやましがられ、話のきっかけが出来る。なお、巡礼手帳がないとアルベルゲには宿泊できない。忘れない様にしよう。東京以外にお住いの方は会のホームページを見ればガイド本も買えるし、手帳も買えるはずだ。
〇日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会
https://camino-de-santiago.jp/
準備としてはそんなところなのだが、心構えはいろいろある。
まずショートコースを取るにしても全行程を歩くにしても、大変な体力がいることは間違いない(体力のある40歳未満の人ならサリアからの100キロコースは楽だとは思う)。出発予定の一カ月以上前からトレーニングをした方がいい。筆者は実際にリュックに荷物を詰め込んで何度か10キロを歩いて出向いた。それでも準備不足だと思った。ここだけは甘く見ない方がいい。最初の三日間は標高差1200メートルのピレネー山脈を歩く。道はそんなに悪くないが、所どころ悪路もあるのでかなりきつい。
「そんなところを歩けるのかな」
筆者もいろいろ経験者に聞いた。大抵が同じ答えが返って来る。
「道の持つ力があなたを歩かせます」
「目に見えない力が働くんですよね」
そうなのだろうが、筆者はクリスチャンじゃないし、いい加減な人間だからといっても相手にはしてもらえない。あまり不安を口にすると悲しい気持ちになることは間違いない。
が、行けば楽ではないがなんとなる。今は私も同じ答えだ。
一般的巡礼の教養、具体的な荷物、巡礼手帳の取得、トレーニングが終わればだいたい準備は出来たようなものだ。後はそれぞれの不安事項を解消しておけばいい。
言葉の問題。
これは話せるのに越したことはなく、自信のない人はある程度は付け焼刃でも勉強した方がいい。もちろん、スマホの翻訳機能で十分だ。が、せっかくなので現地で出会った人と交流を図るのも巡礼のうちだと思う。
ちなみに出発地のサンジャンはフランスなのでフランス語、すぐにスペインに入るのでスペイン語と思いがちだが、世界中から人が集まるので、大抵は英語を話そうとする。よく聞けばいい加減な英語を話している人も多いので、恥ずかしがらずに知っている単語を並べればなんとかなる。ならなければスマホ翻訳。
スペイン人の出発地はパンプローナかブルゴスが多いので出発してから4日目あたりからスペイン語が聞けるようになり、一週間くらいでかなり多くなる。しかし、スペイン人もかなりの確率で英語で応じようとしてくれるので、なんとかなる。
むろん、スペイン語も挨拶位は覚えていきたい。
なお、持っていくつもりだったのにガイド本を忘れたり(筆者は忘れた)、重いので持参を断念した人は出発地の事務所に無料の巡礼路マップや簡単な折り畳みのパンプレットがある。これは実に役に立つ。日本語はないが、英語を選べばなんとかなる。加えて巡礼各地の自治体や観光協会的なところが発行している観光パンプレットもある。記念にもなるのでぜひもらっていって欲しい。