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(小説)「星の降る街」あらすじ

 失態を犯して会社を辞め、離婚して憔悴していた本谷雅春に第二の故郷、宮城県石巻の幼馴染らが救いの手を差し伸べる。その中には、かつて結婚まで考えていた初恋の相手、有里もいた。旧交を温めているうちに、中学生の頃の恩師の計らいで、お互いにバツイチなのだからと再婚を持ちかけられる。
 話はどんどん進んでいくが、不幸なことに時を同じくして雅春に癌が発見される。死を覚悟して別れようとするが、逆に有里の強い意志もあり、新たな絆で結ばれようとしていた。そんな矢先、東日本大震災が起き、有里は行方不明に。つなみにのまれたのだ。
高齢の父親も震災後ほどなくして病気で亡くなる。雅春は絶望の淵に立たされ、生きることに意味を持てなくなっていた。
 そんな中にあって、石巻の人々の愛に包まれ、雅春の生まれ故郷である瀬戸内海の島の空気に癒され再生を図ろうともがく。
 捜索をしながらも、有里の残したものを整理していくうちに次第に変わっていく。有里が、「星の降る街」とも呼ばれるサンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂を終着とする、スペイン、サンティアゴの巡礼に行きたがっていたことを思い、癌を持ったまま巡礼に出かける。巡礼の日々で感じる心模様、過去の苦しみから逃れる、あるいは救済を求める巡礼となる。
 巡礼はあまりにも過酷で心身ともに疲弊させられるが、歩くうちに不思議な光明が差してくる。日常では恐らく思うこともなかった感情にさいなまれる。数か国の人々との触れ合い、日本に居ればすることもなかったはずの会話も雅春を変えていく。
 苦しみ、悲しみ、憤怒、憐憫、あらゆる感情と共に過ごしていくうちに、ゆっくりと生きるための歩みを始める。雅春の救済だったのか、あるいは祈りの巡礼行なのか、日々変化していく心模様、最後に有里の魂に出会う。


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