巡礼の手引き:スペイン サンティアゴ巡礼 1
巡礼準備あれこれ①
スペイン、サンティアゴ巡礼に興味を持った人のために少し準備することをお知らせしたいが、優れたガイド本、分かりやすいwebサイトは多く存在する。この稿ではあくまでも現地を歩いた一人の経験から書いていこう。
巡礼は言わずもがな、信徒が想いを乗せて自らを見つめ、あるいは教義に探求するための行為かもしれない。しかし、現代にいたっては宗教的な意味合いがなくても、ただ興味ある、スピリチュアルな体験をしたい、などの理由でも歓迎されているし、レジャー感覚でどうぞ、という姿勢を関連宗教施設、寺院、教会も寛容になった。
日本でいうなら四国88カ所参り、熊野詣も人気がある。とくに熊野は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産となっている。巡礼道としてはサンティアゴについで二番目だ。巡礼が始まった年代も11世紀前後と近く、自然豊か、と共通点は多い。二つの道はそれだけ歴史を重ね、血肉を吸い込んでいるともいえ、歩く人にとっては「何かを思う」には十分な背景だろう。
巡礼最終地が和歌山県、サンティアゴ巡礼のガリシア州はその縁で姉妹提携し、姉妹道提携もしていることから人的な交流も図っている。スペイン人をはじめ多くの外国人も歩くようになったと聞く。それならば、余計に日本人がサンティアゴ巡礼をしてもいいのではないか、そう思う。
そんな予備知識も入れながらスペイン、サンティアゴ巡礼をするのもいいかもしれない。
旅行なら大した知識なしもサプライズの連続で楽しいのだが(筆者はそう)、ことカソリック信者、あるいはそうでなくても、巡礼においては最低限の知識は入れておきたい。現地での感動が圧倒的に変わるからだ。
キリスト教の三大聖地はエルサレム、ローマ、そしてこの巡礼最終地のサンティアゴ・デ・コンポステーラとなっている。
巡礼のコースは何通りもあるが、スペイン以外に住む人とって最もポピュラーなのはフランス人の道と呼ばれるおおよそ800キロのコースだろう。普通に徒歩だけだと30日から35日が標準だが、なかなか我が国においては休暇を取るのは難しい。むろん、欧州の人もかなりの人が、一気に歩けないので、三分割、四分割に分けて出向く(何年かけてもかまわない)。これは近くの欧州の人はいいのだが、日本人にはこれもまた難しい。出発地のフランスのサンジャン・ピエ・ド・ボーに行くだけで一日以上かかるし、旅費も大変だ。
そのあたりは、簡単に踏破した証明がもらえる5日間のコース、二週間のコースや、私が28日間で経験したやり方など追って紹介したい。
次回から、準備から現地での体験を少し書いていきたいが、絶対に行くことを決めている、確実な旅行代理店並みの情報が欲しい、そういう人は下記の本がいい。正確だし、何しろ親切。これはガイド本としては超が付くほど優れている。おすすめしたい。
〇聖地サンティアゴ巡礼 世界遺産を歩く旅(ダイヤモンド社)
また、WEBには実際に行った人たちが親切にまとめたものがあるが、公的なもので分かりやすいのは以下のサイトだろう。
〇日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会
https://camino-de-santiago.jp/
上記で万全、他は必要ないよ、とも思うが次回から心構えを書いてみる。
サンティアゴ巡礼も舞台としている小説をnote にて公開しています。前半は無料です。ご興味ありましたら、合わせて読んでいただけたら嬉しいです。