文学座の『地獄のオルフェウス』を愉しみにしている。以前、広田敦郎訳をもとに、雑誌「悲劇喜劇」に原稿を書いた。テネシー・ウィリアムズは、私にとっては、シェイクスピアよりも、チェーホフよりも大切な劇作家だ。「重要な」ではない。「大切な」と言いたくなるのは、親愛の気持ちがあるから。
恐ろしいほどパワフルで大胆な『地獄のオルフェウス』を観た。レイディ(名越志保)とヴァル(小谷俊輔)の求め合う強い気持ちが、アメリカ南部のスピリチュアルな志向と結びついているとよくわかる。演出家松本祐子、文学座アトリエにとって、画期的かつ瞠目すべき舞台。見逃せない。詳しくは劇評で。
このごろ日程が詰まっていて果たせるかどうかわからないけど、新国立劇場の『レオポルトシュタット』をもう一度行きたい気持が高まっている。これほどの規模で、内実のある作品は、公共劇場でなければ、なかなか舞台の載せられるものではない。清新なキャストも魅力的だと思う。おすすめします。
昨夜は、新国立劇場中劇場で、トム・ストッパードの『レオポルドシュタット』初日を観る。重厚かつ衝撃力を持った戯曲を、小川絵梨子がテンポよく演出している。広田敦郎の訳もよく練られている。イーヴォ・ヴァン・ホーヴェの『ガラスの動物園』に続き、必見の舞台になった。
このNOTEでも積極的におすすめしたアーサー・ミラーの『みんな我が子』だけれども、17~22日の計8公演を中止すると発表になった。コロナに公演関係者がふたり感染したとのことだが、こうしたニュースを聞くだけで、気持が押しつぶされそうになる。