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【短歌】澄んだ空 暖房効いた室内で アイスを食べてちゃんと凍える

【短歌】大丈夫、死体は人を嫌わない だからね私、死体が好きよ

【短歌】眠いのもチョコを五個も食べちゃったのも そんなの全部セーリのせいだ

【短歌】棒アイス子供の手から滑り落ち 世界ぜんぶがちょっと凍える

【短歌】花開くまでにのんびりしすぎたか 終わる世界に花弁ひとひら

【短歌】「おはよう」に小さな声で「おはよう」と 返す代わりにタップを一度

【短歌】歩き出せ 筋肉痛と帰り道 後でいいことは後でいいじゃん

【短歌】人間もそんな上等にできてない ベルが鳴ったら涎が垂れる

【短歌】ベッドにも仕事を持ち込んだせいかな 夢でも迫る出勤時刻

【短歌】なんだ、くそ 私がコンプにしてること 武器にすんなよ、私以外が

【短歌】ふわふわの犬を人目を気にせずに撫でたい もちろん猫でもいいよ

【短歌】見上げたらどうやったってクラッとくる 君の部屋まで生身で登る

【短歌】飴色と焦げの違いがわかんない 玉ねぎ、言葉、君への慕情

【短歌】帰り道歩いていこう 自転車の仕事はちょっと奪っちゃうけど

【短歌】恋とかもこんな感じなら楽だよな 冷めてもおいしい寿司屋のポテト

【短歌】make up modifyとかじゃないとこに 可愛い子の優しさと傲慢

【短歌】リマインダー「勉強開始時刻です」 もう一週間スルーしている

【短歌】新しい命を産まないことも愛 柵を乗り越えることも自己愛

【短歌】月なんて何色でもいい ただ君が望む色ならいいなと思う

【短歌】白黒のスマホ画面で言葉だけ 変わらず同じ光を放つ

【短歌】なんか、まだ 祭りは終わらないみたい 筋肉痛が癒えるときまで

【短歌】ちゃんとした格好で迎えようとして ちゃんとした服がなくて、会えない

【短歌】とびきりの笑顔を見せて 今までに使ったことない表情筋で

【短歌】ジャンク品ほどに廉価じゃない割に 壊れやすいから優しく触れて

【短歌】三色丼 惰性で入れる緑色 私もたぶんこの位置だなあ

【短歌】いつまでも大人気分でいるんじゃない 小学校は子供の場所だ

【短歌】図書館の本 本棚に戻るとき 隣の本に何を話すの

【短歌】犬、お前 何やったって許されるとか思うな ……私は許すけど

【短歌】人間の心の色の複雑さ 三十一文字じゃどうしても収

【短歌】なんだかな 毎度毎回ウィンカーを出さなきゃ進路は変えられないの?

【短歌】一目惚れなんてそんなにいいものか? どこにも根拠なんてないのに

【短歌】名文とされる一節にマジックで「嘘つき!」と落書きしたい夜

【短歌】「ありがとう」ってはにかんだ君のこと 走馬灯用にトリミングする

【短歌】ガソリンを入れたこれでまた走れるね 次のガソスタが見えてくるまで

【短歌】あたたかくあまいものたちに支えられ あなたがいなくたって、そこそこ

【短歌】散歩中 コセンダングサ気が立って 排水溝に落ちてくいのち

【短歌】自分への愛情不足のせいですか? 母を超えない料理の腕前

【短歌】月はまだ輝いている この星のどこかで君がそう思うから

【短歌】直接の愛の売買は禁じられてるからコロッケひとつください

【短歌】成人式 行ってよかったと言える日が来るまで生きる 来るよう生きる

【短歌】柔らかい床踏み3番シアターへ この暗がりを買いに来たんだ

【短歌】あまいものだけが私を甘やかす 砂糖が添加された私も

【短歌】勝負服なので特別な時着る デートとか人殺す時とか

【短歌】鬱展開 書いて満足しちゃったの? 解決編はいつ始まるの?

【短歌】鼻歌が微かに聞こえるぎりぎりのその一角に私を置いて

【短歌】いつまでも口内に溶け残った飴 好きでもないのに噛み砕けない

【短歌】謝ったから後付けで悪かったことになったな ……無罪なのにな

【短歌】「真面目だね」悪口として使わないで ぶっ殺しちゃいますよ、真面目に。  「真面目」は褒め言葉たりえない、むしろ「頭が固い」「融通がきかない」の言い換えであるという風潮は、不真面目な奴が作ってる。

【短歌】誕生日プレゼント君がこの星に生まれてくれたことへのお礼

【短歌】バイト先 男子小学生がいる 先輩にあたる短パン小僧