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ドキュメンタリー映画『教育と愛国』
ドキュメンタリー映画『教育と愛国』を観た。道徳の教科書や歴史教科書への政府の介入を追ったドキュメンタリーだ。
第一に抱く感想は、この映画に出てくる「慰安婦問題」や戦争加害を否定したい人たち、読んでないな!ということである。一番印象に残ったことが、「慰安婦」問題や日本の戦争加害を否定する、議員や論客、研究者の発言だった。ある人は「慰安婦」問題等を取り上げている教科書を読んですらいないのに、採用した
サンドラ・ヘフェリン『ほんとうの多様性についての話をしよう』
『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』など、「ハーフ」について執筆しているサンドラ・ヘフェリン氏による最新刊。「多様性が~」と言われるなか、今の日本ではどうなってるの?と「ハーフ」や移民をめぐる日本の状況について書かれている。中学生くらいからでも読みやすいと思う。
ことばへの違和感 「ことば」や反応に対する違和感について丁寧に書かれている。例えば、「白人」の見た目だと英語で対応されてしまうこと、
白人として書いていた
金髪の妖精、青い目の戦士、緑の目で白い肌の少女たち。
小さいころは「物語」を書くことが好きだった。妖精、竜、魔法など「日常」からかけ離れた設定を考えて書く、いわゆる「ファンタジー」に夢中だった。今は妖精と打とうとすると真っ先に要請と変換されるのなんかかなしいな。「海外」のファンタジーや少女小説、児童書がたくさんあり、どれも大好きだった。読んだ小説の真似をして書いていたのだろう。
それらの主
ほんとうの地獄はこの社会『名前をなくした女神』
Tverでドラマ『名前をなくした女神』(2011 フジテレビ)を観ている。
主人公の侑子は、働きながら夫と共に一人息子を育てていたが、不本意な転勤を命じられ、仕事を辞めて引っ越す。新しい町で息子が通う幼稚園の「ママ友」グループに入る、そこから物語は始まる。6話まで観たが、どんどん悪い方へと話は進んでいっている。冒頭の遊園地のシーンから不穏な空気が流れているし、1話で「彼女もこの町を美しいと思って
バズ・ライトイヤーと父と私
『バズ・ライトイヤー』を観に行った。最高でした。『トイ・ストーリー』シリーズはディズニー、ピクサー作品の中でも渋いストーリーが多いように思うが、『バズ・ライトイヤー』も20を過ぎた人に刺さりそうだった。
というか、今の私に断然刺さった。これは『バズ・ライトイヤー』評ではなく、映画を観て思い出した私の話だ。先に、素晴らしいフェミニズム映画だったことは言っておきたい。ディズニーは時代をいつも映してい
留学行く前に読むんだった 『サトコとナダ』
マンガ『サトコとナダ』を読んで、漫画喫茶の隅で目をうるませていた。
ものすごく良いマンガだった。アメリカの大学が舞台。日本からの留学生サトコと、サウジアラビアから進学したムスリマのナダがルームシェアをする話だ。それだけの4コマで、2人が互いに感じるカルチャーショックや、ナダが信仰するイスラム教、留学生のサトコから見たアメリカが描かれている。
「留学のリアルさ」がとても素敵だ。「色々な文化の人と
フェミニズムと文学~今こそ読みたい『スウ姉さん』
『赤毛のアン』や『若草物語』に比べるとそこまで有名ではない、気がする。でも確実に今響く、ジェンダーをテーマに扱った小説がエレナ・ポーター『スウ姉さん』だ。河出書房新社から村岡花子の訳で日本語版が出ている。
「原作者のことば」はこんな出だしから始まっている。『スウ姉さん』の主人公は「スウ姉さん」と呼ばれ、家族全員から頼られている女性、スザナ・ギルモアだ。父は銀行家であり裕福な家庭だったが、スキャ
『クイーンズ・ギャンビット』と「女ことば」とフェミニズム批評
今日は国際基督教大学ジェンダー研究センター主催のイベント『フェミニストとして書き、訳し、出版する』をZoomウェビナーで視聴した。話し手は作家の松田青子さん、翻訳家の小澤身和子さんとフリアナ・ブリティカ・アルサテさん、エトセトラブックス代表の松尾亜紀子さん。
内容は4人が翻訳・執筆・出版を通して感じ考えたフェミニズム、それぞれの経験や日本の文学・出版をめぐる問題点について。まだまだ、フェミニズ
男女の立場が逆転したら?フィクションの思考実験
6, 7月と2か月にかけ『SNS/少女たちの10日間』と『プロミシング・ヤング・ウーマン』という、性加害をテーマにした映画を観た。ジェンダー不平等では男性だって苦しんでいる。うん、それは分かる。男女で括るは乱暴、それも分かっている。でも圧倒的に「男女」の力の違いがあるということを見せられたのが上の2作だった。暴力は立場の違いを利用するのだ、ということがよく分かる2作だ。この「立場の差」はあまり「男
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