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#心霊現象
近世百物語・第六十三夜「あれこれの心霊写真」
世の中には〈心霊写真〉と呼ばれるものがあります。その多くは錯覚ですが、中には錯覚とは言いがたいものもあります。自分で心霊写真を撮ることは少ないですが、職業柄、心霊写真の判定やお祓いを頼まれることが多いです。
『怖い話のウラ話』第10話にも書きましたが、心霊写真は自動プリント・マシンが発明されてから世の中に増えました。それまでは写真屋さんが手作業で現像していましたので、奇妙な写真はおおぴらに現像
近世百物語・第五十七夜「目をそむける人々」
何年も前のことになります。大阪の福島駅構内で昼間に幽霊を見ました。私は友人と改札を出て、ふと、妙なことに気づきました。改札前を歩く人々が、ある場所を避けるように流れていたのです。かなり混雑した時間帯にもかかわらず、すべての人がある一箇所を見ないように歩いています。
——何だろう?
ふと、見ると、若い女の子が立っていました。まわりの人全員が女の子を避けるように歩いているように見えました。
「なん
近世百物語・第五十六夜「溺れた時のこと」
雨を降らせることを〈雨乞い〉と言います。雨乞いは、必ず河魄に願うと知ったのは、まだ中学生の頃でした。
祖母の言葉に河魄の正体を知り、
——では、祈ってみよう。
と思いたち、河魄の像を粘土で作って祈ることしばし、やがて、たいへんな雨が降り出しました。河魄とは、いわゆる河童の霊のことです。しかし、河童そのものではありません。河童に似ているので、キュウリを置いて祈ります。キュウリの断面は牛頭天王の
近世百物語・第五十三夜「デ・ジャブ」
良く〈デ・ジャブ〉と言う言葉を耳にします。デ・ジャブはフランス語です。これは一度も経験したことのない出来事を夢で見たりする現象のことです。
子供の頃は、未来に行く場所とか、出来事とか、会う人の夢を先に見ていました。かなり頻繁に見て記憶していたので、自分の未来をある程度は知っていました。大人になってからはそう言った夢を見ることは少なくなりました。それでも時々は見るものです。
デ・ジャブは夢でし
近世百物語・第五十一夜「祖母のお客様」
何度か百物語にも書きましたが、幼い頃、私は祖母の家に預けられていました。母が病弱であったこともあり、私が祖母の家を気にいっていたこともあり、幼児期の記憶のほとんどは祖母の家での出来事です。祖母は不思議な人でした。もちろん、私に播磨陰陽道を伝えてくれた人です。しかし、それ以外にも、色々と不思議なことをしていました。
何度か鳥や動物たちと話しているのを見たことがあります。単に話しかけていたのではあ
近世百物語・第五十夜「常世春の国」
第四夜で書いた姉のような優しい幽霊たちが、最近、夢に現れます。もう私の年令は、彼女たちの死んだ歳よりずっと上になってしまいました。あの場所に帰ると私は子供に戻るようです。いつも同じ場所、いつもと同じく暖かく迎えてくれる優しい家。たとえ幽霊屋敷であっても、時々、ふと懐かしい想いがして帰りたくなります。
彼女たちが夢の中で語るには、
「生きている人たちが常世春の国と呼んでいる場所にいる」
そうで
怖い話のウラ話・第15話「百物語のこと」
よくある百物語をしたと言う実話だと称する体験談。百人が各々ローソクを持ち寄って一話ごとに吹き消すそうですが、ちょっとおかしくありませんか?
たとえば、あなたが百物語に参加したとします。真夏の夜のことです。少し暗くなった頃ですので、だいたい夜の七時半くらいでしょか?
まず、最初のひとりが恐怖体験を語り出します。次の人が、更に怖い話を語ります。そうやって何人か語り終わるたびに、ローソクを吹き消す