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播磨陰陽道

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2022年8月の記事一覧

播磨陰陽師の独り言・第三百五十七話「祓いの掟」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十七話「祓いの掟」

 祓いには様々な掟があります。もちろん、決まりは決まりであります。それとは別に〈掟〉と言うべき物事があるのです。
 決まりとしては、儀式の手順が決まっています。その時にあげる祝詞も書式が決まっています。また、何を祓うのかについても、使う祝詞や儀式の手順が決められていて、自由にやれる訳ではありません。しかし、自由さのある場合もあって、厳密にこうしなければならないと言う訳でもありません。
 しかし、い

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十六話「様々な礼儀」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十六話「様々な礼儀」

 以前に、死んだ人に鞭を打ってはならないと言う言葉を書きました。それに関連して、また、ひとつの言葉を書きます。
 それは、
——人の陰口を叩いてはならない。
 と言うものです。
 陰口を叩く人は、いつか、見えないところでトラブルを起こします。そんな人は、やがて見えるところでもトラブルを起こすようになります。そんな潜在的危険を含んでいるのです。また、人に対して礼儀を欠く行為だと言うことからも禁じられ

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十五話「音楽で脳を生かす」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十五話「音楽で脳を生かす」

 年を取っても脳は活性化する……そうです。物忘れが激しくなるのは脳を使わなくなるからです。
——だんだんと生きることに慣れて来て、何も考えなくても暮らせるようになった結果だ。
 とも言えます。
 人の脳は無意識に効率化されてゆきます。色々な物事に慣れて来ると、何も考えずに行えるようになります。それは生きてゆくことには便利ですが、脳が活性化しなくなると言う欠点を持ちます。欠点と言うか、脳の機能として

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十四話「サイレント映画」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十四話「サイレント映画」

 モノクロのサイレント映画が好きで、時々、YouTubeなどで見ています。最近はすぐに検索して見れるので、良い世の中になったものだと感心します。
 昔はビデオテープを買うか、借りて来て見たものです。その前は8ミリフィルムを買っていました。高かったので、数は持っていませんが、いくつかのフィルムを持っていました。
 まず最初に買ったのは、エイゼンシュテイン監督の『戦艦ポチョムキン』です。中のオデッサ階

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十三話「死人に鞭を打つなかれ」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十三話「死人に鞭を打つなかれ」

は昔から、わが国で禁じられている物事のひとつに、
——死人に鞭を打ってはならない。
 と言う言葉があります。
 この罪は、大祓祝詞の中にも〈死に剥ぎだち〉と記載されているほど古くからあるもののひとつです。死んだ人の業績を低くしたり、身分を下げたり、悪口を言ってはならないと言う意味ですが、人は死ぬと、すべての罪が許されるのです。それを、わざわざ鞭打つなど、あの世に逝った人に対して、とても失礼なことだ

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十二話「キャンプの思い出」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十二話「キャンプの思い出」

 子供の頃は、毎年、夏休みにキャンプに行きました。北海道の夏休みは、本州に比べて短いです。その代わり冬休みが長くなっていますが、冬にはキャンプは行きません。
 夏休みのキャンプは、複数の団体から誘われるので、帰って来ては次のキャンプと言う具合で、盆の期間以外は、ほとんどキャンプに行っていました。海にも山にも行きました。実家は十勝平野の真ん中にあるため、海も山も遠いのです。山なら遠くに大雪山が見えて

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十一話「地蔵盆のこと」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十一話「地蔵盆のこと」

 旧暦七月二十四日は地蔵盆です。地蔵盆は京都を中心にした関西の行事です。現代では新暦八月二十四日に行われることが多く、この日でお盆の期間も完全に終わります。
 お地蔵さんは、子供を守る仏の一種です。普段は賽の河原にいて、石を積む哀れな幼な子を救います。しかし、お地蔵さんの仕事はこればかりではありません。
 さて、地蔵盆の夕暮れになると、あちらこちらの地蔵堂に子供たちが集まります。僧侶たちの読経に混

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播磨陰陽師の独り言・第三百五十話「怪談でありえないこと」

播磨陰陽師の独り言・第三百五十話「怪談でありえないこと」

 よくある怪談を見たり聞いたりしていると、
——これはあり得ないなぁ。
 と思うことが、しばしばあります。
 たとえば、
——幽霊に刃物で殺される。
 とか、
——幽霊に掴まれた足が血だらけになる。
 と言ったものです。
 確かに人を殺す類の霊的なものはいます。しかし、それは幽霊ではありません。幽霊程度の霊力では、せいぜい足を掴んで水中に引きずり込むくらいが関の山です。もちろん、目撃した人間の側で

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十九話「怖くない地獄のこと」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十九話「怖くない地獄のこと」

 いわゆる地獄は、もちろん他の仏教国にもあります。しかし、皆さんがご存じの地獄の概念はわが国独自のものです。
 まず、人が亡くなると、体から魂が抜けて天井近くに登るそうです。そして、下を見下ろすと、自分の体が死んでいるのを見ると言います。しかしこれは、臨時体験ではありません。まだ、死んでいないのです。人の脳の中に、死の恐怖を和らげるための保護機能があります。それが起動しただけです。この現象は、電極

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十八話「お盆と言えば」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十八話「お盆と言えば」

 お盆と言えば、その昔、テレビで『あなたの知らない世界』が流行っていたなぁ。まだ、ブラウン管のテレビしかなく、あの、端っこが歪んだガラスの画面の中に、怖い物語が展開していました。
 最近のフラットな液晶テレビより、ブラウン管の方が怖い話に適していると思います。見ていると、怖いシーンで自分の顔が反射し、ドキッして幽霊と勘違いしたりもしました。
 貞子さんもブラウン管のテレビから出て来るから怖い感じが

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十七話「セミの鳴く庭」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十七話「セミの鳴く庭」

——最近、ミンミンゼミの声が聞こえないなぁ。
 とか思っていたら、八月に入った途端、わが家の庭でも鳴きはじめました。
 六月の終わりにはクマゼミが鳴きはじめ、七月の中頃からはツクツクボーシが鳴きはじめました。
——ツクツクボーシが鳴くのは、少しはやいな。
 と思ったものです。
 庭でセミが鳴くのを聞くのは楽しいものです。鳥たちも鳴いていて、毎日、美しい声が聞けます。気分が良いです。
 前に住んでい

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十六話「お盆のこと」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十六話「お盆のこと」

 もうすぐお盆の時期に入ります。本来のお盆は、旧暦七月だったものが、明治時代に新暦八月に変更されたものですので、今は八月をお盆としています。
 現代のお盆は八月十三日から十六日までの四日間です。十三日に迎え火をして、十六日の夕方に送り火を焚いて盆明けとなります。お盆休みの期間はその前後となります。
 しかし、昔は旧暦七月一日からお盆の期間がはじまって、二十四日の地蔵盆で終わったそうです。

 さて

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十五話「方言は文化ですから」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十五話「方言は文化ですから」

 江戸時代の恐怖体験談を元に小説を書いているので、作品ごとに物語の中心となる地方は異なります。地方が違えば、当然、お国に訛りも異なります。しかし、地方の方言をそのまま書いてしまうと、今の人には何だか分からないことが多くなります。現代人にも理解出来るように書く工夫がいります。そのことからも、特徴をつかんで方言を散りばめた台詞を書いています。
 たとえば、水戸黄門が上方《かみがた》へ行っても、ドラマで

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播磨陰陽師の独り言・第三百四十四話「はじめての飛行機旅行」

播磨陰陽師の独り言・第三百四十四話「はじめての飛行機旅行」

 はじめて飛行機に乗ったのは、YS11と言う機体でした。あまり作られていませんが、国産初の飛行機です。まだジェットではなく、確かプロペラ機でした。
 大阪の伊丹空港からジェット機で羽田へ飛び、乗り換えて帯広までプロペラ機に乗りました。はじめての飛行機。しかも窓側の席に、多少、興奮して外を眺めていました。太平洋の海面しか見えない景色に飽きて来た頃、不思議な白い線が見えました。海の上に、北から南に真っ

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