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『精神科医が見つけた3つの幸福』読書記録…『幸せ』=3つの脳内ホルモンだった!精神医学が「幸せとは何か」の問いに実用的な答えを与える

『アウトプット大全』で有名な樺沢紫苑氏の新作
『精神科医が見つけた3つの幸福』を読んだので、要約します。

本書は、『幸せ』な状態とは何か?という問いに対して精神科医の著者が脳科学に基づいて答えを与える解説書。

私たちが『幸福』を感じる時に、脳の中では何が起こっているのでしょうかか?
どんな行動が実践的な『幸せ』につながるのでしょうか?

そんな『幸福の実用書』として樺沢氏はこの本を著しました。

幸福とは、3つの脳内物質

既存の研究では、100種類以上の脳内物質が『幸福感』の正体として明らかになっています。

ランナーズハイなどの限界状況で分泌される「エンドルフィン」
ジェットコースターに乗ったときに分泌される「アドレナリン」「ノルアドレナリン」などなど・・・

「多幸感」をもたらすホルモンが100種類以上あるというのですから、「幸せ」のあり方に答えがないことも頷けますよね。

しかしながら、仕事や生活といった日常の場面で大きな影響のある3つの幸福物質があることが知られています。

それは、「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」。多くの媒体で注目を集めるこの3つの幸福物質は、私たちの幸せに関わりの大きい3大幸福物質ということができます。

この3つが十分に分泌されている状態は、私たちが「幸せ」を感じる状態その状態をつくる条件こそが、まさに「幸せになる方法」だということなんです。

3つのホルモンの特徴・優先順位

・心と体の健康がもたらす『セロトニンの幸福』

・友情や愛、コミュニケーションがもたらす『オキシトシンの幸福』

・成功、達成、お金などがもたらす『ドーパミンの幸福』

それぞれの特徴を説明します。

まず、『セロトニンの幸福』は一言でいうと、心身の健康から来る「調子がいい」「爽やかな気分」「マインドフル」な体験のこと。

運動をしたときや、森林の中を散歩したときの、気分が晴れてリラックスした感覚。それが、セロトニンによる幸福です。

逆にセロトニンが低下すると、憂うつになったり感情のコントロールが利かなくなったりします。その結果、無気力、だるさ、ボーッとする、といった症状があらわれることも・・・。


次に、『オキシトシンの幸福』は、人とのつながりによる「安心感」「楽しい」「癒やされる」といった体験のこと。

夫婦、恋人や友人とのスキンシップ、あるいは家族やサークルでのコミュニケーションなど・・・安定した人間関係によって生まれる安心感、信頼感といった喜びすべてが、オキシトシンの幸福です。

孤独などによってオキシトシンが低下すると、「寂しい」「満たされない」「疎外感」といったストレスにつながります。


3つ目の『ドーパミンの幸福』は、努力と達成による「高揚感」や何かを得たときの「興奮するような喜び」の体験を意味します。

スポーツの大会で優勝したとき、仕事で昇給したとき、SNSのフォロワーが増えたとき・・・。努力の結果、欲しいものを手に入れたときに感じる「達成感」がドーパミンの幸福です。

また、ドーパミンは「もっともっと」の物質であるという特徴があります。

「県大会で優勝した!次は全国大会だ!」
「フォロワー10万人達成!次は50万人を目指すぞ!」

ドーパミンは私たちの「やる気」の源。人はさらなる刺激を求めて頑張るからこそ、成長できます。つまり、ドーパミンは『自己成長』の燃料でもあるんです。

しかしながら、そんな「もっともっと」の性質ゆえにドーパミンは暴走して「依存症」の原因になることがあります。

「アルコール」「ギャンブル」「ゲーム」・・・。簡単に快楽が手に入るものでドーパミンの幸福を得ようとすると、「もっともっと」が止まらなくなってしまうことがあります。

依存症になると、「セロトニンの幸福」も「オキシトシンの幸福」も失います。

ドーパミンは「自己成長」を生み出すという良い点がありながら、使い方を間違えると恐ろしいものでもあるんです。


このように、それぞれの性質に着目すると、3種類の幸福には優先すべき順番があることが分かります。

その正解は、「セロトニン」→「オキシトシン」→「ドーパミン」の順番。

「心身が健康」だからこそ「安定した人間関係」を維持し、周囲との助け合いのなかで無理なく「自己実現」を達成できるのです。

セロトニン、オキシトシン、ドーパミンの順番に幸せを積み上げていく。このことを著者は『幸せの三段重理論』と名付けています。


セロトニンを出す7つの方法

ここからは、上記で紹介した3種類のホルモンを分泌させるための生活習慣として、著者が本のなかで紹介しているものを並べて書いていきます。

まずはセロトニンを活性化する7つのヒント。

・十分な睡眠、運動、朝散歩の習慣で脳と体を整える
・寝る前の『3行ポジティブ日記』で幸せ収集能力を鍛える
・朝散歩の清々しさをあとで書き留める『マインドフルネス朝散歩』
・緩急をつける。リラックスするオフの時間を作り「充電」すること
・『起床瞑想』で自分の体調をチェックする時間をつくる
・独り言や会話で心地よさの気づきを増やす『プチ幸福アウトプット』
・自然のなかで過ごす時間を持つ

健康的な生活習慣、リラックスに専念する時間を取ること、そして幸せな気持ちに「気付く力」を磨くことが大切なようですね!

オキシトシンを出す7つの方法

次にオキシトシンを活性化する7つのヒントを紹介します。

・「ありがとう」と言葉で感謝する&寝る前15分の感謝日記
・人に親切をする&親切日記
・「家族」や「友人」との安定した親しい関係を育てる
・人間関係やコミュニケーション術を勉強する
・コミュニティに所属し、共通の目的でつながった「仲間」を作る
・自分を中心にしたコミュニティを作り、人を集める
・ペットや植物を育てる

周囲の人間との関わりを深めたり、コミュニケーションで心を通わせたりといった幸せは、学び育てていくもの。感謝、信頼、親切といった、自分自身にできる努力をすることが大切ですね!

ドーパミンを出す7つの方法

次にドーパミンを活性化する7つのヒントを紹介します。

・お金や物に感謝し、オキシトシンの満足感と結びつけることで欲望の暴走を防ぐ)・制限することで依存を避け、長く楽しむ
・毎日の小さな成長を意識し、気付くこと
・ドーパミンが好む「ちょうどいい難しさ」の課題に挑戦する
・心の「ワクワク」に従って素直に挑戦してみる
・継続可能な範囲で人助け・社会貢献をする
・天職(楽しいと感じる仕事)を見つける

ドーパミンを成長や自己実現につなげていくには、依存や燃えつきを防いで継続的に味わうこと、そして自分自身が「楽しい」と感じる目標達成が大切なようです!

幸福物質のバランスが崩れると・・・?

「セロトニン」→「オキシトシン」→「ドーパミン」の順番で幸福を満たしていく。という話を初めにしました。

では、この優先順位を間違えるとどうなってしまうのでしょうか??

・・・例えば、ドーパミンをセロトニンより重視してしまった場合。
健康を無視して成果を追い求めていくと、必然的にメンタル疾患や病気になります。体調が悪ければ判断力もパフォーマンスも落ちますから、成果はかえって遠のいてしまいます。
「頑張る」には、「健康」という基盤が不可欠なのです。

・・・例えば、ドーパミンをオキシトシンより重視してしまった場合。
成功を求めて家族や周囲の人間とのつながりを失ってしまうと、とても「幸せ」とは言えなくなります。断絶、孤立、いじめなどの問題が生じたらどうでしょうか・・・?そもそも、つながりを無視して手に入れる成功は長く続かないでしょう。
「つながり」があるからこそ、頑張りを「成功」につなげることができます。

・・・例えば、オキシトシンをセロトニンより重視してしまった場合。
メンタル疾患になると、「友達と会って30分話す」という当たり前のコミュニケーションが困難になります。心身の不調が続けば、人と話す、メールを返す、といったコミュニケーションがおっくうになり、愛情やつながりも薄くなってしまうでしょう。
「健康」あってこその「社会生活」なのです。

「セロトニン」→「オキシトシン」→「ドーパミン」の順番。樺沢氏は自身の精神科医としての経験からこの事実を見出し、『幸せの三段重理論』と名付けたということです。

セロトニンという基礎の上にオキシトシンの土台を作り、その上にドーパミンのビルを積み上げる。これが幸福な人生にアプローチするための手順となります。

まとめ…「幸福は結果ではなくプロセスである」

まずは心と体の健康を整える。(セロトニン的幸福)

余裕・安定した精神状態

信頼と安心のある人間関係を固める。(オキシトシン的幸福)

集中力アップ。周囲のサポートも充実してくる

自己成長・成功(ドーパミン的幸福)

ここまでに紹介した手順をざっくりとまとめてみました!

つらく苦しい努力をがんばって続けていった先に「幸福」という楽園・ゴールがあるのではありません。

「幸福」とは日々の今、この一瞬の「状態」であり道のりそれ自身の中にあります。「今、ここ」に幸せがあることが大切なんです。

樺沢氏が考える脳科学的な結論は、「幸福は結果ではなくプロセスである」ということ。

そして、幸福な人は3つの幸福物質の力で圧倒的に生き生きと能力を発揮できます!そうなれば、何をやってもうまくいきます。


・・・個人的には、世の中の不満を持つ人の多くが、最初からドーパミン的幸福だけを追い求め、健康やつながりからの幸せを忘れてしまっているのではないかと思います。
そんなバランスを崩した状態では色々とうまくいかない、幸せや満足を感じられないのは当たり前なのかもしれません。

幸福物質を高める方法や具体例については、ここには詳しく書けなかったので、もっと詳しく知りたい!という方はぜひ、書店で『精神科医が見つけた3つの幸福』を手に取ってみてくださいね。



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