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【悪魔の長い腕】朝倉未来、キングカズ、ローリングストーンズ、そしてブルース。

最初にハッキリ申すが、私は朝倉未来の大ファンであった。

さて、まずは昨年の「YA-MAN戦」から触れていくが、
正に那須川天心が事前に言い当てている通り、
YA-MANにKOされた試合は「なんとなく、ふわっと」リングに上がってしまった。

なんとなくの「しがらみ」で、なんとなく「絡めとられて」、
「どこにも責任の主体が居ない」リングに上がってしまった。

そして「そこで負けて、周りは誰も責任を取らずにバックレる」のである。

結果、たった一人、大損をぶっこいてしまったのである、致命傷レベルの。

「ふらふらと、何かに誘われるように」悪魔の長い腕は伸びてきて地獄へとさらっていくのである。

それは、外部的な天災の様なカタチを取る場合もある。

私の見解では、朝倉未来の足元を掬った大元凶は「例の世界的な珍騒動」である。

もちろんハッキリと覚えているが、例の珍騒動の初期に未来の試合がキャンセルになり、その間にYouTubeをやりまくって大金持ちになった。

結果、27~30歳という格闘家としての全盛期を、ヌルい練習と実戦感を失うことで「スって」しまったのである。

これも大変に残念な話だが、ハロプロ・グループのBEYOOOOONDSも、
「これから彼女らの時代が来る!」というタイミングで珍騒動に遭い、
貴重なアイドルとしての3年間を「スって」しまった。

そして気が付いた時には、デビュー時に大旋風を起こした輝きを失っていた。

歴史を振り返っても、
戦争で肩を壊した天才投手の沢村栄一とか、
戦死してしまった天才映画監督・山中貞夫とか、
兵役拒否で全盛期に3年間試合できなかったモハメド・アリとか、、、

「時代の天災」は、いとも簡単に人の運命を捻じ曲げていく。

私が切なく思うのは「失われた時間は戻らない」という圧倒的な事実である。

人生を「スってしまった」方々、特に格闘家やアイドルという「本当に短い全盛期」を喪った方々には取り返しのつかない切なさが心身に響いてくる。

インターネット上では「朝倉未来は2022年のメイウェザー戦からオカシクなった」という評が多いが、

実は「悪魔の長い腕」は2020年の初頭から朝倉未来に忍び寄っていたのである。

一度失った「輝き」は二度と取り戻すことは出来ない。

そして、
朝倉未来は輝きを取り戻すことなく、平本蓮に敗北してあっさりと引退して格闘技の「道」から足を洗った。


一方、
一度は奈落の底に転落しながら復活した人もいる。

辰吉丈一郎のシリモンコン戦、
そして、モハメド・アリの「キンシャサの奇跡」ジョージ・フォアマン戦である。

この2事案は「奇跡の復活」(あたかもイエス・キリストのような)の神話として歴史に刻まれている。

そんな辰吉の事案はそのままキング・カズへと連想される。

辰吉もキング・カズも「いまだ現役」である。

いや、辰吉はまだボクサーをやってるのである、公式試合は出来ないだけで。

この二人は、恐らく死ぬまで続けるであろう(多少カタチは変わっても)。

彼らは「永遠に失ったモノ」を追い続けているので、
それは永遠に手に入らないが故に死ぬまで続けるしかないのである。

もう取り戻せない時間を抱えながら、
ひたすらに現役を続ける、

その「ブルース」がたまらないではないか。

「ブルース」は3コード、12小節をひたす、繰り返す、終わりの無い音楽形式である。

そして、それはローリング・ストーンズへと連想される。

齢80歳を過ぎていまだギンギンなのは、彼らが「ブルースマン」だからである。

すなわち「80歳?いや~、まだ全然ですわ」というのがブルースの道なのである。

「とにかく続ける」という生き方には、このような人生の滋養があるのだ。

そんな私は「とにかく続ける」派である。

なぜなら「ブルース」に終わりはないからである。

簡単に諦めたら悪魔に魂を抜かれるであろう。



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