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奇想小説集

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自作の奇想短編小説をまとめたものです。 多少のグロテスクもありますので。
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#超ショートショート

小説「視聴者的配慮」

『この作品はフィクションです。作品内に出てくる人物・団体は実際の人物・団体と全く関係あり…

gake
1年前
2

区議会選

親父が練馬区の区議会議員選挙に出馬したいと突然言い出したのは、去年の春頃の話だ。 真面目…

gake
2年前

囀り

ある特定の鳥のさえずりが聞こえて来ると、 私が済んでいる町では皆が一斉に美容室に飛び込む…

gake
2年前
1

小説「動力、改め」

妻はここ最近、電動アシスト自転車が欲しいと言うようになった。 そんなに頻繁に自転車に乗る…

gake
3年前
4

小説「おとうふさん」

父さん元気ですか? 僕は元気です。東京の冬は、そっちに比べたら暖かいけれど、でも暮らし始…

gake
5年前
13

小説「電気的心理分解」

「いつの頃からか、蝶が飛ぶようになりまして。部屋の中にいるんですよ、蝶が。窓を開けた記憶…

gake
5年前
4

乙女、下校、地獄変

夏休みが終わり休みボケした生徒達が、校門からたくさん出て来る。私、節田節子17歳は校門から少し離れた電信柱の陰に隠れて、校門から出てくるそんな生徒達の顔を、じっと見つめていた。まだ目当ての田辺君は出て来ていない。彼はクラスの人気者でいつも皆に囲まれてるから、直接話しかけるならチャンスは下校の時しかないのだ。 キチンと話せるかな、イキナリ話しかけて変に思われないかな……。いやいやいやいや。なに弱気になっているんだ節子。少しでも田辺君との距離を縮たいって、昨日決意したばかりじゃ

小説「煙突掃除のヒューイ」

オイラはヒューイ。ロンドンで煙突掃除をしているんだ。両親に捨てられて身寄りのなかったオイ…

gake
5年前
6

小説「Glock」

Glock。全長174mm、重量595g、装弾数15発。1980年当時オーストリアのグロック社が開発した自動…

gake
5年前
5

小説「これで終わりの向こう側」

戦地に駆り出され早20日。遂にこんな日が来てしまった……。 俺は恐る恐る重心を移動させずに…

gake
5年前
1

小説「彼らは、青椒肉絲をよく食べる」

食事中、妙な視線を感じる事があった。何かにじっと見つめられているかのような、そんな違和感…

gake
5年前
8

小説「消滅」

職場へ行こうと自転車を漕いでいる数メートル先に、突然黒い雑巾の塊の様な物が空から落ちて来…

gake
5年前
5

小説「玄関前に」

「……これを、飾るんですか…」 私は、男が持って来た商品を触りながら、誰に言うでもなく呟…

gake
5年前
4

小説「その子」

その子は、見知らぬ子だった。 艶やかな黒い髪、少し重力に負け下に広がりがちな頬、襟の付いた半そでにサスペンダーの付いた短パンを履いたその子は、我が家の居間、ちょうど襖を開けた辺りにちょこんと正座をしていた。恐らくは少年。少女ではない。 私は、開けた襖をそのままにこの状況を飲み込む事が出来ずたじろいだ。妻があげたのか? でもどうして私に一言もいわなかった? そして、どうして正座などしているというのだ。 「君は……あれかい?近所の子かい?」 この状況に即しているのかどうか