見出し画像

小説「視聴者的配慮」


『この作品はフィクションです。作品内に出てくる人物・団体は実際の人物・団体と全く関係ありません』

巌流島。
海の向こうを見詰めている佐々木小次郎がいる。

『小次郎からのお知らせ。テレビを見る時は離れて見てね!!』

海の向こうから、宮本武蔵が舟に乗って登場。

『地元の漁師の承諾を得て撮影しています』

「待ちかねたぞ、武蔵!」
「待たせたな小次郎!」
「いざ勝負!!」

小次郎、鞘を捨てる。

『ドラマ上の演出です。海岸にモノは捨てないでね』

「小次郎敗れたり! 鞘を投げ捨てるとは……敗北を悟ったか!」
「笑止。武蔵、貴様との決着今日こそ付けてやる!でぁぁぁー!!」
「うぉぉぉー!!」

激しい戦闘を繰り広げる2人。

『良い子はマネしないでね!』

武蔵、小次郎に押され劣勢に。

「どうした武蔵、貴様の力はこんなものか!?」
「まだまだ!!」

再び繰り広げられる激しい戦闘。

『専門家の監修のもと行われています』
『2人は特殊な訓練を受けています』


武蔵、小次郎の両者離れ距離をとる。
やがて2人同時に切りかかり、武蔵の一閃で小次郎斬られる。

「ぐふっ……」

崩れ落ちる小次郎。

『本人の了承のもと撮影しています』

「……勝負あったな……我が宿敵小次郎、さらば!!」

去って行く武蔵。
海岸に残されたのは、残された小次郎の亡骸であった……。

『スタッフが美味しく頂きました』

🈡

老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。