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ヱリ子さん思考日記~2023年2月「いつか循環の中でバタつきパンを食べられたなら」
【循環するひと、表現するひと】 「循環者」と「表現者」について水面下で考え続けている。作家大木芙紗子さんの「にんじん」(https://www.instagram.com/p/CokQugeh4co/…
二〇二三年 十二月三十一日 「物事のいろいろは微妙な意思のバランスで方向づけられてゆく」
南房総に来ている。旅館からほど近い海岸沿いを、家人と歩く。Google Mapで見ると、今いる位置はわかるのだが、海岸線を指で上下になぞってみてもこの場所に名前はないらしい。駐車場を抜けて階段を上がると、たくさんの黒いテトラポットが墜落した星のように、どこか戯画的に集積しているさまが見えてくる。少し雲を浮かべた晴天の下には、鉛色を深く抱え込んだような群青色の外海がはるか向こうまで拡がり、地平線は
もっとみるそっと載せておく愛らしいエンタメ青春小説~「MY FAVORITE SONG」
(約15000字くらい)
物心ついた頃から、周期的に見る夢がある。俺は自転車に乗っている。乗っていると言っても俺は漕ぎ手ではなく、まだほんの四歳か五歳のガキとして母親の自転車の後方にちょんと乗っかっている。母親はピチリと体に張り付くようなTシャツを着て、俺に背中を向けている。寒くもなく海も穏やかで、多分うららかな陽気の中、自転車は弧を描いていくつものカーブを爽快に曲がってゆく。ガキの俺は視野が狭