幸福日和 #094「二つの道」
僕の半生を振り返ってみると、
この人生という大きな道を歩みながらも、
そこにはいつも「二つの脇道」がありました。
それは、
山へ向かう道と、海へと向かう道。
生まれ故郷でも、この孤島生活の中でも、
いつも、この二つの道があった。
僕はその二つの道に支えられてきた気がするんです。
一つは、山への道。
それは、どこまでも深い山々と自分を繋いで延びてゆく道。
光を照り返す新緑に囲まれながら、空気の澄んだその山道を歩いていると、
柔らかな木漏れ日、心地よい鳥のさえずりが
いつ