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幸福日和 #087「道草からの眺め」

こうして孤島で生活をしている僕は、
働いてもいないし、世間から見れば、
完全に「脱線した人」に
見えてしまうのかもしれません。

そもそも、人生の脱線とはなんだろう。
人生に明確な道なんてあるのだろうか。

そんなことを考えたりもします。

労働市場でキャリアアップが叫ばれ、
世間体というものが意識される世の中。

時には、
脇道にそれながらも他人が眺めることなどできない、
自分だけの絶景をながめながら歩めたら、
それは素敵なことではないか。

そう考えると、
脱線こそが希望のようにも
思えてならないんです。

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それまで歩んできた、教育の道を大きく外れて
金融業界へと大きく道をそれた友人がいます。



彼はもともと、
大学で経済学を教えていて

サラリーマンよりも多くの給料をもらい、

経済的な安定を保証されていたんです。

それにも関わらず、「生きた経済」と関わりたいと
考え大きく道を変えた。

今では学問の現場と現実世界との乖離を
実感しながらも、経済を生で感じる日々を送っているのだそう。

知識を着実に学び、経験を蓄積しながら、
その度に見える景色が変わっていくのだと、
充実感のある笑顔で語ってくれていたのが印象的でした。

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また、フランスに住む別の友人は、
もともと都内の有名ブランドで、
天然素材のコスメを販売していたんです。

ブロバンス発祥のコスメといえば
日本でも有名だけれど、
彼女はそのブランドでの仕事を通じて花の香りや、
薬草の効能に魅せられて、その先に関わりたいと、
コスメ会社を退社。
ひとり、南仏プロバンスへ向かったんです。

今では、慌ただしい都会生活から離れ、
南仏プロバンスでラベンダーを育て、

数々のハーブに囲まれ、香りだけではない、
優しさに包まれた毎日を送っています。

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人は歩み続けてきたレールから外れると、
とてつもない不安に襲われることがあります。

積み上げてきた経験が活かされなくなってしまうのではと、
数年間を無駄にしてきたような気にもなる。

でも、全ては生きた経験として
繋がってゆくものだと思うんです。


脇道を歩いているうちに、
思いもよらない絶景と出会い、
心満たされ、日常が支えられていくこともあります。

そう考えると大切な道とは、
いつもそぐ側を外れたところにこそ
あるのかもしれません。

経済を学問にしながらも、
それを応用したいと金融の世界に飛び込んだ友人。
天然素材のコスメを販売しながらも、
その由来に触れたいと遥かフランスの農園へ向かった友人。

僕の身近には、寄り道の先で
豊かな人生を送って入る人が数多くいます。

仕事とという概念をも越えて、
自分自身と向き合うために。


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しばらく入院生活をしていた時のこと。

担当の主治医さんが、
幼い僕に語ってくれた言葉が今でも忘れられません。

「人は死ぬときに何で後悔するのだと思う?」

「それは、やりたいことがあったのに、
それをやらなかったことなんだよ」

事実、多くの患者さんが、その言葉を残して、
この医師のもとから旅立っていったのだそう。

そういえば、
当時、同じ病室で入院生活をともにしたおじいさんも、
全く同じことを言っていた気がします。

「好きなことは、今しておきなさい」と。

心の底から湧き上がるものがあるとき、
人はその潤いで今を満たしていくことができる。

でも、時間を経過して心が乾いてしまえば、
そこにどれだけの想いを注いでも、
満たしていくことは、なかなか難しいのだと。

だからこそ、思いがある時は、
その時の思いのままに進んでゆけばいいのだと。

鳥は大空を自由に
どこまでも広く羽ばたくように。
魚は海の中を雄大に、
どこまでも深く泳いでゆくように。

決められた道など、
人の概念の中だけにしかないのかもしれませんね。

自分だけの景色だけを
大切にしてゆきたいと思うんです。

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Ryota【孤島物語】毎日更新
最後までお読みいただきありがとうございます。毎日時間を積み重ねながら、この場所から多くの人の毎日に影響を与えるものを発信できたらと。みなさんの良き日々を願って。