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「私(俺)仕事頑張ってる」マウントは、何のため?

「徹夜してこそ、制作マンだよ」
これは私が入社1年目の時に言われた言葉だ。

私はライターの仕事をしている。
クライアントワークで
大変タイトな締め切り仕事。
私は世間的にいう「ハードワーカー」に
分類されると思う。

諸々な事情により今はだいぶ落ち着いたが、
入社1年目は徹夜なんてザラにしていた。

「私はこれだけ働いた」
という事実が勲章のようにもてはやされる会社。

「おかしい」と思う暇が(隙)がなかった。

疲れにより正常な判断ができない私は、
入社数ヵ月でしっかりと
その価値観に染められてしまう。

キラキラと仕事後の時間を楽しむOLを見て、
「死ぬ気で働いたこともない世間知らずが」
と思うことさえあった。
(今思えば異常である)

「本気でやってる?」
「これはやる気を出して書いた文章?」
数値化できない曖昧な内容で怒られる日々。
正解がないことで責めたて、
相手の自己肯定感を下げて従わせる。
モラハラ男とブラック企業はよく似ている。

そして、ストレスにより
セクハラ発言が飛び交う夜。
「君発情してる?」
「勃ちゃった」
「社内の人だったら、誰とセックスしたい?」
などと管理職から言われたこともある。
(あんなにハードな仕事中に
何に発情すれば良いわけ?)

そんな文化が当たり前に
まかり通っていたある日、
私たちの2つ下の代が、
1年目で80%退職してしまう。
そこで、私たちは自分たちの文化が
いかに遅れているのか
思い知らされることになった。

誰かの我慢で成り立っている組織なんて、
長続きしないのである。

そんな日々を思い出したのは、西加奈子さんの
『夜が明ける』を読んだから。

15歳の時、高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。 普通の家庭で育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できることなんて何一つないのに、互いにかけがえのない存在になっていった。大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、少しずつ、俺たちの心と身体は壊れていった……。思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描きながら、 人間の哀しさや弱さ、そして生きていくことの奇跡を描く、感動作!

新潮社 西加奈子『夜が明ける』あらすじ

テーマの『貧困』から派生する
過労にも触れているこの作品。

西加奈子さんは、
本を通して、私たちは辛いことがあったら
「助けて」
と主張すべきであると訴えかける。

私は組織のなかで、
下に見られたり同情されることが嫌いで、
「助けて」や「できません」が
なかなか言えなかったし、
言ったら負けだと思ってた。
(結果キャパオーバーしてしまう)

でも、この世はチームプレーで成り立っていて、
全員でこの社会のシステムを作っている。

だから、あなたが辛いと感じるのであれば、
「辛い」と主張したほうが良い。
きっと、それはあなた以外も
感じていることだから。

どうしたら自分が、そして周りの人が
生きやすい組織、世の中を作っていけるか…

「働きすぎ自慢」をするくらいなら
誰かのために主張しよう、今ならそう思える。

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