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岩波が本棚に並んでいる奴はだいたい友だち


2024年7月18日(木)朝の6:00になりました。

困難がくるたびに、ぼくは元気になるよ。

どうも、高倉大希です。




真理は万人によって求められることを自ら欲し、

芸術は万人によって愛されることを自ら望む。


岩波文庫には必ず、上記の文ではじまる刊行の辞が掲載されています。

岩波書店の創業者である、岩波茂雄の言葉です。


岩波文庫がなかったらと思うと、ぞっとします。

きっとこれまでの人生が、大きく変わっていたはずです。


真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である。岩波文庫はこの要求に応じそれに励まされて生まれた。

岩波茂雄(1927)「読書子に寄す」岩波書店


岩波茂雄といえば、夏目漱石と親交が深かったことでも知られています。

岩波書店の基盤をつくったのも、漱石の『こころ』の出版でした。


さらに言えば、我が心の師である寺田寅彦とも関係性のある人物です。

岩波書店の科学叢書のはじまりには、寅彦が大きく携わっています。


木曜日の午後3時、門下生が集まる漱石宅。

同じ時代を生きたなら、どうにかして出席してみたかったなと思います。


先生のお宅は玄関の次ぎが居間で、その次ぎが客間で、その奥に先生の書斎があるのですが、書斎は畳なしで、板の上に絨氈を敷いた十畳位の室で、先生はその絨氈の上に座布団を敷き机に向って原稿を書いて居られた。

芥川龍之介(1987)『芥川龍之介全集 第8巻』岩波書店


岩波文庫を買うときは、どうしても緑と青を選びがちです。

その次を強いて選ぶなら、赤色です。


べつに、ダメなことではありません。

でも、ゆくゆくは黄色や白にも手を伸ばせるような大人になりたいなと思います。


きっと本だって、望んで待っているはずです。

万人によって求められることを、そして万人によって愛されることを。


われわれが死ぬまでにこの世の中を少しなりとも善くして死にたいではありませんか。なにか一つ事業を成し遂げて、できるならばわれわれの生まれたときよりもこの日本を少しなりとも善くして逝きたいではありませんか。

内村鑑三(1946)「後世の最大遺物 デンマルク国の話」岩波書店


ECの普及により、本がいつでも買えるものだと思われるようになりました。

手に入れやすくなったことに違いはありませんが、永遠なんてものはありません。


本は、買えるうちに積め。

復刊を望みながら過ごす日々ほど、苦しいものはありません。


いろいろと書きましたが、今日言いたかったことはこれだけです。

岩波が本棚に並んでいる奴は、だいたい友だち。






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