『海底二万里』の冒険へ。そして、ノーチラス。
深海は宇宙と同じくらいに神秘に溢れた世界である。
世界を。深海を。大海原を。
地球という青い星でたくさんの謎を含む冒険の旅を。
『海底二万里』。この本は映画にもなり、『海底二万マイル』という名で知っている方もいるかもしれない。
ヴェルヌが1800年後半に描いた海をテーマとした大冒険の話である。
たかが、小説。
されど、この本はまるで深海の世界に飛び込んだようなリアリティを提供してくれる。
気がつけば主人公と同じ潜水艇に乗り、世界を共に旅している。
そんな世界観に浸ることができる。
この本は、ノーチラス号と呼ばれる最先端の潜水艦で海を冒険する物語である。
描かれた当時、電気というものが発見されたという頃だ。
ノーチラス号は、その電気で稼働し、ほぼ永久機関として動くことのできる潜水艦であった。
今でこそ電気でたくさんのことができるのが当たり前だが、当時はそれほど多くの実用化されたものはなかった。
しかし、期待を込めたヴァンヌの描いた世界には感心させられる。すごいとしか言いようがなかった。
当時は蒸気機関で動く船がほとんどであり、常識を大きく破るような潜水艦である。(そもそも潜水艦が知られてもいない。)
そのため各国では巨大な怪物だといった憶測が飛び交う。
目撃状況があったり、事故で船が沈ませられたりとたくさんの噂が立つ。
しかし、いよいよ看過できない状況にまで発展してしまい討伐の命令が出され、ここに主人公も研究者としての立場で乗り込む。
そして、ノーチラス号と出会い、とある事故からノーチラス号で生活をしながら物語は進んでいく。
冒険の数々を事細かに描くヴァンヌの凄さに脱帽させられる。
海で見られるたくさんの魚類・貝類・海藻類などの名称と共に見た目の描写など満載だ。
また、情景描写も適切に描かれており、まるで今の自分がノーチラス号にいるような感触を得る。
そして、深海を冒険している気持ちになる。
不思議な感覚だ。
海の神秘性を過大すぎず、過小すぎずに描くことでリアリティが増している。
ここに、ヴァンヌの凄さがある。
自然に対するリスペクトを感じさせられる。
また、立場の異なる人物の描写も丁寧に描かれており、物語の厚みを持たせている。
船長の明かされぬ過去。研究者としての好奇心と良心。同行者の従順さと豪快さ。
様々な人物の立場で交わるストーリーの心象の動きにも注目してほしい。
あなたならこういう立場に立った時にどう感じるだろうか?
様々な葛藤と共に心揺らぐ。そんな人間味を感じてほしい。
さて、この『海底二万里』の冒険を読み終えた後はぜひ、音楽も楽しんでほしい。
ヨルシカの『ノーチラス』である。
この本をモチーフとして描かれた歌詞、楽曲をあなたはどう感じるだろうか?
深い眠りからの目覚めの曲。そうして、描かれた『ノーチラス』。
海底二万里の話を知らずに聞いても良い曲が、より一層深みを増して伝わってくる。
それは、まるで心が海底に沈んでいくようである。
あなたの心に刺す言葉がきっとある。
そう信じている。
ぜひヨルシカが描くノーチラスのストーリーを体感してほしい。
この曲はヨルシカの曲で度々出てくるエイミーとエルマの話でもある。
その2人のストーリーにもぜひ興味を持ってみてほしい。
また、その2人のストーリーはまとめていきたいと思う。
MVの他にライブ映像の歌もある。
こちらも必見だ。
ぜひ、皆さんの心の冒険に火を灯し、共に小説・音楽の世界に溺れられるように祈る。
この"深み"に共に沈みたい。
言葉の持つ魅力は計り知れない。
ここまで言葉を通じて映像に起こせる作品に出会えた幸運を噛み締めたいと思う。
ぜひ言葉に溺れ、胸に大切な言葉の核を埋めてほしい。