近未来の生活に焦点が当たってしまった『本心』
わたしは平野啓一郎の小説が好きだ。活字で読むときに淡々と紡がれる文章が好きで、それなのにこちらの感情が持っていかれてしまう瞬間、いわゆる行間というものが世界を作ってくれる。とはいえ結局のところ、激情型の文章も好きなんだけれども。平野先生の本は結構好きなほうだと思う。
『ある男』のときも思ったのだけれど、平野先生の本を映像化するのはとても難しい。映画として見たら面白いんだろうし、小説とは別物だということも理解しているのだけれど、先に小説を読んでしまう以上、どうしても比べてしま