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ASDさんは人の話を「聞く」ことが難しい?


Ⅰ.人の話を聞くのって難しい…

私は人の話を聞くのが苦手です。

他人と会話をしていると

途中で飽きてくる
話の内容についていくのがしんどくなる
興味の無い話は聞くのが辛い
何が言いたいのか分からなくなってくる
話の内容を忘れてしまう

などの悩みが出てくるので
他人と会話することに苦痛を感じます。

私の場合
「人の話を聞くのが苦手」な理由として
以下の問題が挙げられます。

大勢の人のいるなかだと、他の人の話し声や騒音が耳に入ってきて集中できない(聞き取り能力の問題)

興味や関心が無いと、興味の無いことには本当に興味が湧かないのでツラくなる(興味の差が激しい特性問題)

話を聞いていても、頭の中では別のことを考え出してしまいごっちゃになる(頭の中が多動状態問題)

ASDさんにとって
「人の話を聞くこと」
かなり難しい問題です。

ASDさんが
「人の話を聞くこと」に
難しさを感じるのは何故でしょうか?

今回は

定型発達とASDの会話の特徴
ASDの特性が、会話にどう影響しているのか?

この2点を中心に考察していきます。

Ⅱ.会話のキャッチボールの違い

①定型発達の場合

頭の中でポイントを押さえ
その中から優先順位重要度を判断しながら
返答するのが定型発達のコミュニケーション。

他に頷きや微笑みといった表情や仕草でも
相手の感情や気持ちを判断しています。

表情や仕草も
感情や意図を伝えるために重要な要素。

定型発達の人の
会話のキャッチボールは

①話の概要を理解

②要点を記憶

③関連した返事を投げ返す
のが特徴。

何気ない会話のキャッチボールの裏では
複雑な情報処理が瞬時に行われているのです。

②ASDさんの場合

相手の話をしっかり聞こうと
意識が細部に集中するため
話の全体像を把握するのが苦手
です。

そのため
会話の枝葉末節に気を取られ
話の内容が入ってこず

1箇所に固執しがちになり
正確に答えようとして言葉に詰まります。

定型発達とは反対に

  • 表情や仕草で気持ちを読み取る

  • 自分の感情を表現すること

などもASDさんは非常に苦手です。

他に言葉以外の表現が乏しいため
相手に対して
「共感」や「同意」を感じにくいです。

ASDさんの場合
情報が脳に均等に入ってくるため

話を分割・要約して理解しづらく
要点を押さえるのが苦手
なのです。

Ⅲ.ASDさんが会話に困難を感じる理由

理由①シングルフォーカスしやすい

ASDさんの場合
「シングルフォーカス」
という特性が影響しています。

一つの事柄に気を取られ、細部が気になり
他に集中できなくなる
のが特徴です。

他には
相手の言葉に集中している間
それ以外の情報処理を行うことが難しい
です。

バックグラウンドで
「行間」を埋める作業ができない
ため

話を聞いていても
理解不足に陥ってしまうのです。

定型発達の人は
言葉で表現されていないことでも

暗黙の了解似たような経験から類推したり
相手の表情や仕草から情報を得たりなどして
補完しながら理解を深めます。

理由②話を丁寧に聞こうとする

定型発達の人は
実は話を「丁寧に」聞いていません。

定型発達の会話は
中身の正確さよりも「共感」を優先します。

これは世間話ガールズトークといった
テーマのない内容に顕著ですね。

会話のキャッチボールが
何となく続くことが重要
なので

会話の継続によって
相手との共感を育みます。

反対にASDさんは丁寧に聞こうとします。

しかし情報処理の違いから
テーマの無いだらだらしたおしゃべりでは
言いたいことが分からず混乱
します。

また視覚の感覚が優位な影響から
映像記憶力が優れていること

ワーキングメモリーが小さいことも重なり

自分の話も相手の話も
会話中に忘れ、支障を来すこともあります。

また相手とのやり取りで
「共感を覚えない」のがASDさんの特徴。

共感を覚えないことから

自分の思考と
相手の話の内容やタイミングなどとの間に
ズレが生じてチグハグになってしまうのです。

理由③「内的自己」が育まれていない

ASDの特徴として
「思っていることをそのまま口に出す」
しばしば挙げられます。

ASDさんは
自分が見たことや思っていることを
ありのまま口に出してしまいやすい
です。

また相手の発言の裏を読めない特性から

そのまま信じて受け止めやすく
騙されやすいのもASDあるあるです。

ASDさんのこういう特性の背景には
「内的自己」が育まれていないのが
関係しています。

「内的自己」とは
内側にあるもう1人の「自分」のこと。

定型発達の人は基本

「内的自己」で
色々自身の思考や言動をチェックして
行動しています。

「内的自己」は時に
自分の言動をモニタリングしては
行動をコントロールする役目を持ちます。

定型発達の人は大体2歳くらいまで
親とのやり取りを通し
「内的自己」を育みます。

親からの声かけを
徐々に思考として取り入れていき

成長後は1人でいても頭の中で
「もう1人の自分」とやり取りしながら

思考を深めたり言動をコントロールしたり
するようになっていくのです。

しかしASDさんは
自分の親の存在に気づくのが
2〜4歳くらい
と言われています。

ASDさんは
親とのやり取りが欠けているので
独白で考えるようになります。

そのため「内的自己」が
十分に育まれていないのです。

思ったことを口に出してしまったり
周りに人がいるにも関わらず
大声で独り言を言ってしまうのも

「内的自己」が
十分に育まれていないのが関係しています。

「内的自己」が育まれていないと
自分の思考や場の雰囲気を客観視できない
という悪影響が出ます…

Ⅳ.まとめ

私も他の人と会話する中

しばしば
途中から話についていけなくなる
複雑な話を理解するのに時間がかかる
会話の内容が途中で分からなくなる

などといった困難に見舞われます。

会話をする中
今までずっとツラかったですが

ASDの特性が絡んでいることを知ってからは
少しだけ楽になりました。

定型発達の会話は私からみると
物凄く高度な駆け引きをしているように
感じてなりません。

ASDさんが
会話で困難を抱えやすい理由をまとめます。

「シングルフォーカス」という特性から、話の一部にしか集中できない
話を丁寧に全部聞こうとする
自分をモニタリングする「内的自己」が欠けている

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