ASDさんは「感情の後出し」に悩みやすい…
Ⅰ.「感情の後出し」に悩まされるASDさん
ASDさんの悩みどころの一つに
「感情の後出し」があります。
感情の後出しと聞いて
「感情の後出しって何?」と
疑問に思う方もいるでしょう。
「感情の後出し」とは
特定の状況や場面において
即座に自分の感情を表現することができず
時間が経ってから
その感情が湧き出てくる現象のことです。
失感情症(アレキシサイミア)の
影響も大きいです。
例えばASDっ子の場合
学校で叱られて、家に帰ってからムクムクと怒りや悔しさといった感情が湧き起こり突然泣き出してしまう
友達からバカにされたり揶揄われたりしてもその理由が分からず、後になってバカにされたことに気づいて怒り出す
大人のASDさんの場合
上司や先輩に注意された意味が分からず、後になってから「あぁ、そういう意味だったのか!」と理解する
嫌みで言われたことに後になって気付き一人怒りだす
面接でうまく受け答えできず、後になって「あぁ言えばよかったのか」と落ち込む
などが挙げられます。
Ⅱ.「感情の後出し」の厄介さ…
そもそもASDさん自身
感情に気付きにくい
感情をすぐに認識しづらい
他の人と感情がズレやすい
などといった特性を抱えています。
特に
感情に気付きにくい/認識しづらいのは
ASDさん本人にとっても大きなストレス。
他に社会的圧力や同調圧力の影響から
感情を抑えやすくなります。
その場で感情を表現することができず
後天的に感情を認識しづらくなった…
というASDさんも少なくありません。
「ASDさんは感情が無い」
と誤解されがちですがもちろん感情はあります。
しかしその場にあった感情が
すぐに出てこなかったり
ズレたりしているだけなのです。
「感情の後出し」も
ASDさんのコミュニケーションがうまくいかない理由
の一つと考えられます。
定型発達の人から見れば
突然感情を爆発させてくるので
困惑するし
なぜ今になって感情が蘇るのか
分からないからです。
Ⅲ.「感情の後出し」とうまく付き合うには
「感情の後出し」は治そうとしても
無理に治せるものではありません。
「感情の後出し」もASDの特性。
「そういう特性なのだ」と理解した上で
「感情の後出し」とどう付き合っていくか
考えることが大切だと感じます。
「感情の後出し」と付き合っていくには
以下の5つを心がけると良いでしょう。
<「感情の後出し」と付き合うコツ>
①自分は感情が出にくいことを理解する
「感情を認識しづらい」
「表に出しづらい」のもASDの特性。
感情の認識に遅れが生じやすく
また感情表現しづらい傾向があります。
「私は感情を認識しづらいところがある」と
理解するだけでも気持ちが楽になります。
②深呼吸する
「感情の後出し」は
後から感情がわーっと出てくる現象。
そういう時は一旦深呼吸して
気持ちを落ち着かせるのがオススメです。
深呼吸には
身体の緊張を和らげる効果があります。
私も感情が爆発しそうになった時は
深呼吸を取り入れています。
③一人落ち着く場所へ行く
感情がわーっと出てくると
周りからは癇癪を起こしているように見えます。
またASDさん本人も
感情処理がうまくできずに困惑します。
その時は
誰もいない静かな空間に行って
感情をまず落ち着かせましょう。
④ノートに書き出して感情を振り返る
ASDさんは
一日の終わりに
感情を振り返る時間を作るのがオススメです。
「今日はどんな出来事があった?」
「その出来事について自分はどんな感情を持った?」
「どんな考えが浮かんだ?」
感情や思考を思いつくままに書いていきます。
自分の感情を書き出し
見えるようにする作業を「外在化」と言います。
⑤感情について学ぶ
一人で感情を振り返ることが
難しいといった場合
心理カウンセラーや
発達障害に詳しい専門家の人に相談して
感情整理について
アドバイスをもらうのもオススメです。