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ようこそ!僕はenonon!当記事は小説・メモ・要約・感想の塊である。文法ですら怪しい。著者と筆者とに区別をつけていないこともある。そういう言葉の羅列であることを承知くださいません!

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マガジン

  • 小説「砂岡」

    ある街の独立戦争

  • 小説「solec」

  • 短編およびその他の文章

    マガジンに入らないようなジャンルを入れる用

  • まとめ「ヴラジーミル・シューホフ」

    ロシアの技師ヴラジーミル・シューホフについてのまとめです

  • 映画と読書などの感想

    映画と読書などの感想

最近の記事

(小説)砂岡 4-5「わたしはレズです」

学校から電話が来た。これで何回目だろう。あぁもう! 案の定、相手は森川くんだった。 「いま、塩崎のお母さんが学校に来てる。どうする?」 「引き留めて!」 「いや、お前に会いに来てる。」 「知ってる!」 なにも知らない! わたしは筋肉の衰えた脚で学校へ走っていた。 担任と校長がわたしを革の椅子に誘導した。わたしが塩崎の友達のひとりとして向き合ったきりだ。塩崎のお母さんがわたしの顔を覚えていること自体、不思議だ。だって、このひとにとって塩崎とわたしは赤の他人だったのだから。当

    • (小説)砂岡 4-4「ばらばら」

       所詮は大英帝国の思惑通り。この事件は、むしろ陣屈国に与えたダメージの方が大きかった。大英帝国内よりも、陣営屈国では大規模な学生運動はもちろん老人までものがデモに参加した。統計なり公文書の改竄はあちらの国でもあったようで、国民の不満は一気に爆発した。当時の財務次官、理財局長が飛び降り自殺、警視総監が心臓発作で死に、裁判官や検察内でも失踪者や自殺者、不慮の事故が相次いだ。内務省国家保安委員会は本部が爆弾テロにより吹き飛んだ。翌週には陣屈国トップであり、肺がんを患っていたティム大

      • (小説)砂岡 4-3「勝利」

         翌日、わたしは自室で目を覚ました。わたしがアールグレイのカフェインで酩酊しているあいだに誰かがわたしを家に届けてくれたんだ。 「やばっ」 そして、急いで新聞を開く。昨日のことが書かれていた。一面の見出しは「イルガ法成立、自治確定」写真は、あの移動要塞スレイプニルの甲板エリザベスやロレンツォたちが立っている様子だ。自室から飛び出して近所のキオスクに駆け込む。「王室と政府との大英帝国を堅持するための一撃」「武装中立との取引」「大会英帝国の衰退と威厳の維持」「サンドバランス誕

        • (小説)砂岡 4-2「リムジン」

          「お母様も惚れるわけだ。」 こいつ誰だ。え?お母様って言ったか。 いや、このひと知らないし。 エリザベスとどんな関係? お母様? 「いやぁねぇ、ロレンツォ。」 エリザベスの反応もすごく生き生きしている。 なんだ。 「あ、ありがとうございます。」 なに、照れてんんだ、わたし。 「ロレンツォ・アルマーニだ。ロレンツォ。お母様と同じく、名前で呼んでくれてかまわない。」 表情を変えて、エリザベスが問うた。 「どうだった?」 「素晴らしかったです。」 「どうだった?」 「意外でした。

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        記事

          (小説)砂岡 4-1 「逃げられない」

           逃げられないわたしに追い討ちをかけるかの如く森川は広場に戻ってきたひとびとへ場所を譲って距離が近づく。...逃げられない。わたしは残りのケバブを食べきった。 「おかわり」 そう伝えると。森川は消えた。  あのスピーチには悔しいけれど、心が揺り動かされることがなかったわけでもない。わたしはもう一度、騒々しい空を見つめ、あの城を見つめる。緑か。わたしには、空と城との境界が緑に見えた。そういえば女王もまた緑のドレスを身に纏っていた。あの男はスーツを着ていた。ブランデンブルク

          (小説)砂岡 4-1 「逃げられない」

          (小説)砂岡 4-0 「スピーチ全文」

          スピーチ全文 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  この嵐は多くの犠牲者とその遺族の悲しみをもたらしました。現在も救助活動が行われています。この嵐は一部の地域だけでは決してなく大英帝国すべての人々に大きく悲しみをもたらしました。まず最初にこの場にて救助活動を行なっているひとに感謝とこの嵐によって愛する誰かを失ったひとへ祈ります。人種・性別を越えて、全てのひとへ祈ります。  現在、この大英帝国には多くの性的少数者がいます。わたしはここへ来て犠牲者の最後の別れにも立ち会えな

          (小説)砂岡 4-0 「スピーチ全文」

          (小説)砂岡 3-6 「お城」

           わたしはこの物語が 3-5 で終わると思っていた。実際、この物語の作者は2015年にわたしとミオちゃんが仲良くなって、革命なんかに愛想尽かして終わりっていう結末になってんだ。でも、わたしはもうちょっと、いや、もっと作者にこき使われることになるんだ。どうか哀れんでくれ、誰か。  ブランデンブルク門から西に500mほど行ったところに入雅港がある。そして今日、その沖合にどでかい城が建っている。昨日にはなかったはずだ。上空を複数のヘリがバタバタと飛び回っている。巻き上げられたイル

          (小説)砂岡 3-6 「お城」

          (小説)砂岡 3-5 「2015年」

           晴れてきたのはいいんだけどさ。うどんしか食べてないし、どっかで寝ないといけない。南風がびゅんびゅん吹いていても、さすがに夜は冷える。という拉致されたわけで、おばあちゃんやエリザベスにはその責任を負うべきだ。わたしにご馳走とふかふかのベッドをくれたまえ。というか、その問題はどうした。なぜ、わたしはここにいる?  そりあえず宿を探さなければならない。この街には24時間営業のファミレスもなければファストフード店もないのだ。そもそも昼間にだってそんな施設があるとは思えない。
野宿

          (小説)砂岡 3-5 「2015年」

          (小説) 砂岡 3-4 「墜落」

           地図を買った売店で新聞を取る。ワシントンポスト。陣屈国の新聞だ。英語は通じる。それからガーディアン。これは、そう、うちに届くもの。厳密にはうちの父へ届くもの。それから適当に選んだ読売新聞。フッ、漢字は知らない。いつか勉強するため?かっこつけるため?誰のために?まぁいいや。ポンドで買えた。その航空機が気になったので、墜落現場まで行ってみることにした。ずっと逃げ続けてきた。事実についても、ようやく向き合わざるを得ない時がきた。かっこつけて新聞を広げる。  今回の嵐の被害の全容

          (小説) 砂岡 3-4 「墜落」

          (小説) 砂岡 3-3 「ディベート」

           カフェテリアに戻ってきて、わたしは打ちのめされてショッピングモールから一歩も出られずにいた。擦り切れ表面が真っ白になったガラスから、夕焼けのコントラストがショッピングモールを覗き込んでいる。それをわたしは手すりに掴まって見ている。外は完全に晴れたようだ。そんな景色を見ていると、お腹が空いたので、また素うどんを食べようと思った。 疲れた、もう本当に疲れた。なにも理解したくない。  「はい。」  わたしの後ろの席に4人組みが座っていた。食べるときは恐ろしいほど、無口に、黙々と食

          (小説) 砂岡 3-3 「ディベート」

          (小説) 砂岡 3-2 「大使館」

           さて。検問もなく、流れでタクシーというか王室の黒い車に私は吸い込まれた。この状況は拉致だ。前後に同様の車がおり、一気に直線を加速してゆく、途中何度が急カーブし、すらっと博物館の前を通り過ぎ、高架下を抜ける。ほうきで砂を掃く人々。パパと行ったことある!メッサーシュミットBf109が天井からぶら下がっていたのを思い出す。どこかで見た光景。狭い道をずっと進むと急に空が開け、高層ビルが立ち並んだ。ギギッとブレーキする。車列は乱れずに完全な間隔を維持して都市を走り回った。その真ん中を

          (小説) 砂岡 3-2 「大使館」

          (小説) 砂岡 3-1 「プリクラ」

          塩崎はマザーボードを取り出し、それをもって帰った。 わたしと一緒に。電気街には行っちゃいけないって。 手をつなぎたくて。それだけで。同じ学年なのにおっきいその手で。白い肌で。 塩崎は消えた。 プリクラ取ったよね。 深く、深く、沈む。 パパのホバークラフトが燃えている。 もっと頭をなでなでしてほしかった。 「えっ?はっ」 おばあちゃんのひざ上で目が覚める。轟音に包まれながら。 ガタガタしていて、ときどきくる浮遊感。 とても気持ち...良くはない。 あと、エリザベスと王室のひと

          (小説) 砂岡 3-1 「プリクラ」

          (小説)砂岡 3-0 「海」

          3本のクレーンが一斉に90度回転する。 管制室でボールペンが鳴る 「作戦開始まで3 2 1」 薄暗い海に突如として明かりが灯る。 BPとでかでかと掲げられたロゴが照らし出される。 ブリティッシュ・ペトロリアムHK21「通称:スレイプニル」 「主電源回復」 「対空ミサイルを含むすべての武装を解除」 勝手知ったるメイドイン大英帝国 「トランスポンダ―解除」 ガーン!すべてのサイレンが鳴り響く。汽笛によく似た叫びは電子信号に変換され光ファイバーを伝ってゆくはずなのだが 「爆破」

          (小説)砂岡 3-0 「海」

          (小説)砂岡 2-5「エリザベス」

           その後、何週間か時は過ぎ、今年3度目になる砂嵐が来た。 取り敢えず自宅へ戻り、ママから頼まれた仕事セットとダイビングセットを梱包して出版社へ送った。ついでに登校する。  森川くんとは未だ言葉を交わすことはなかったが、話しかけてきたら今まで通りに対応しようと思う。そのくらいの思いやりは必要かもと思うし。だが相変わらず中井さんは学校に来ない。彼女は「入雅に行く」と言ったきり帰ってこないらしい。 わたしの日常も、この街の日常も、砂嵐程度では揺るがない。クーラーが止まると、徐

          (小説)砂岡 2-5「エリザベス」

          (小説)砂岡 2-4「古本屋」

          「ちょっとママ、行かなくちゃいけないとこあるから。」 真剣な眼差しを向ける。 私はママにスマホを渡す。 「どこに?」具体的には聞かない。 「….」 「どうぞ。」 「鍵、わたしとくわ。」 そういうと、カバンからキーカードを取り出す。 「いいよ。自分の持ってるから。」 「そんじゃ、ごめん。仕事でしばらく出るから。おばあちゃんとこ行ってね。」  そっか。寂しいのはママだけじゃないのに。そんなに心配いらないと思っている。 まったく… と、言うわけで、広大なマーブル市の地

          (小説)砂岡 2-4「古本屋」

          (小説)砂岡 2-3「もぐら」

          ※センシティブな表現が含まれます※  ママを待っている間、わたしはずっとスタバにいる。カップにこびりついた泡たち見てふと、思った。いま、この瞬間も搾取され続けているネクロポリスのひとびとのことを。ネットのニュースで見たことがある。そこには信憑性は定かではないが、もっともらしい残酷な写真がいくつもあった。この砂嵐と父のホバークラフトと啜ってみるかどうかとか考えていた泡たちとが繋がる思いがした。 パパ… 胸がぎゅっとしまった。塩崎の時のように。  クラクラしてきて、このスタバ

          (小説)砂岡 2-3「もぐら」