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アプリで出会ったマグロ男

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マッチングアプリで出会ったとある男。長編になったので最初からまとめて読みたい方はこちらからどうぞ。
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#お酒

マッチングアプリ体験談17-4

マッチングアプリ体験談17-4

●第17話「マグロ男」4

前回の話はこちらから。

コンビニで缶のお酒を買って公園まで歩く。そこそこ人通りはあるものの、たくさんあるベンチは空席のところが多い。2人で座るには広すぎるベンチに腰掛け、間に買ってきたお酒を置いた。今の私たちにはちょうどいい距離感だ。

乾杯して飲み始めたものの、どうもそわそわする。外飲みこそ初めてだ。大きな通路に背を向けて座ったため、後ろを歩く人の姿や声が気になる。

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マッチングアプリ体験談17-5

マッチングアプリ体験談17-5

●第17話「マグロ男」5

前回の話はこちらから。

やっと缶を空けた男は立ち上がり、2人で駅へと向かった。大人しく350mlにしとけばいいのに、ロング缶など買うから飲み切るのに時間が掛かるのだ。

お酒のせいか、緊張のせいか、男は電話で話す時よりも饒舌だった。「僕の手を強く握ってくれませんか」などと言うもんだから、それぐらいのお願い聞いてやってもいいぞと差し出された手を握ったら「あ…あ…」と反応

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マッチングアプリ体験談17-6

マッチングアプリ体験談17-6

●第17話「マグロ男」6

前回の話はこちらから。

家に入ると、なんだか埃っぽいような、生乾きの細菌が繁殖したような臭いがした。入ってすぐ廊下に洗濯物が干されている。家の中が真っ暗だ。廊下には電球を設置していないのかもしれない。

ワンルームのリビングに通され、男はすぐにテレビを点けた。「眩しいの好きじゃないんだよね」と言って部屋の明かりを点けない。そのままソファに座る男に「手洗っていい?」と洗

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マッチングアプリ体験談17-10

●第17話「マグロ男」10

前回の話はこちらから。

閉まっていると言ったコンビニを通りすぎると、程なくしてまたコンビニが出てきた。なんだ、目と鼻の先じゃないか。入ると衛生用品が置いてあるコーナーがすぐに目に入った。

男「僕たちこんな夜中にコンビニに来ていかにもって感じだよね。ねえ、店員さんに『スキンどこにありますか?』って聞いてきてよ」
私「やだよ。そんなことしなくても見つかるよ。ってかそう

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