見出し画像

【国宝 手鑑翰墨城】藤原行成 藤原公任 藤原佐理の書 光る君へサービス展示?!


MOA美術館で毎年この時期に開催されている名品展。今年は国宝【手鑑てかがみ翰墨城かんぼくじょう】が展示され、翰墨城に収められた311葉(枚)の書のうち、大河ドラマ「光る君へ」の登場人物 藤原行成ふじわらのゆきなり藤原公任ふじわらの きんとうの書を発見。数ある書の中からタイムリーなニーズを汲んで?!42葉(枚)展示のうち10葉(枚)がこの二人の書。配分多め。何も調べずに行ったのでテンション上がりました

今年は「光る君へ」の効果で、
古い時代
に書かれた「書」を楽しめる年になりそう

————————
MOA美術館は、所蔵品ほぼ写真撮影可能
国宝も例外ではないという豪快さが最高!!
————————

名品展 国宝「紅白梅図屏風」
2024年2月2日(金)〜2月27日(火) 
国宝3点、重要文化財31点、重要美術品7点展示!
展示目録↓ 
https://www.moaart.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/2cf0ff0ed322b37e8b69b15f780de706.pdf



【脅威の見えない展示ガラス バズる】

ちょうどこの名品展が始まる前にTwitter(X)で、MOA美術館の展示ガラスの透明度がとんでもないと話題に。ガラスが見たいというニーズ、一年に一度だけ見られる国宝 紅白梅図屏風の展示効果か、館内だいぶ混雑

特殊なガラスと後ろの黒漆喰壁の相乗効果で見えない


ガラスにぶつかっている人 多数
ガラスに感動している人 多数



 



数々の名品の中に「国宝 手鑑 翰墨城」展示 



【そもそも手鑑てかがみ とは?】

字の鑑定(見本帳)に使っていたもので、いろいろな時代のいろいろな有名人の書を”いいとこ取り”に集めて一つの本にしたとんでもないお宝。それぞれの書は元から細長い紙に書かれていたわけではなく、長い紙や巻物から部分的に切り取って冊子に貼られている

「手鑑? 」「 ?  」「ミラー? 」
かがみ とは 見本 のことで「手鑑てかがみとは「見本帳」のこと

例1)武士のかがみ
 武士のお手本という意味
例2)吾妻鏡あずまかがみ 
 鎌倉殿の13人、どうする家康でおなじみの吾妻鏡
 この「鏡」も同様の手本という意味合いで、
 東(あずま)地方の教訓(手本)となる歴史書


全部国宝!四大手鑑

日本に四つある手鑑が
東京国立博物館に2013年集結していた
そのうちの一つが、今回の展示MOA美術館所蔵のもの
▶︎国宝 手鑑 藻塩草もしおぐさ 
 
奈良~室町時代・8~16世紀 京都国立博物館蔵
▶︎国宝 手鑑 見努世友みぬよのとも 
 
奈良~室町時代・8~16世紀 出光美術館蔵
▶︎国宝 手鑑 翰墨城かんぼくじょう 
 
奈良~室町時代・8~16世紀 MOA美術館蔵
▶︎国宝 大手鑑おおてががみ 
 
奈良~室町時代・8~16世紀 陽明文庫蔵



では今回の展示の手鑑について

【 国宝 手鑑「翰墨城かんぼくじょう」】MOA美術館所蔵

▶︎伝来
手鑑の中でも早い時期に成立したと考えられ、鑑定の基本台帳として古筆家別家の古筆了仲りょうちゅう(1655~1736)に所伝し、のちに益田鈍翁(1847~1938)が旧蔵した。「翰墨城」の名は、翰(筆)と墨によって築かれた城という意味で、まさに名筆の宝庫に相応しい名称といえよう(美術館HPより)
▶︎中身の書が書かれた時代
奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆
表側154葉(枚)、裏側157葉(枚)の合計311葉(枚)
▶︎書をこの冊子状態にしたのは
桃山時代から江戸時代

この状態の姿そのままではなく、中身を抜粋して展示
この中にたくさんの古筆切(各種書物などを切った断片)
が裏表311葉(枚)貼られている
国宝 手鑑 「翰墨城」
この一列が展示スペース 

311葉(枚)の書から今回選ばれた面々
何が書いてあるか分からないので、パッと見
お手紙のようだけど、お手紙ではなく和歌集などの書物の断片


<翰墨城に収めされた古筆切>
311葉(枚)のうち、今回展示は42葉(枚)で
そのうち、藤原行成6枚 藤原公任4枚 藤原佐理4
光る君へメンバー分は、合計14葉(枚)
これは「光る君へ」サービスと言ってよいでしょう!

藤原行成の書

藤原道長よりも6歳下。道長政権下で蔵人頭に抜擢(ばってき)されると、細やかな気遣いで実務に能力を発揮、欠かせない存在として支え続ける。文字の美しさでは右に出る者がおらず、もてはやされた。

以下、渡辺さんに脳内変換して鑑賞



藤原行成の書の展示のうち ↑
これだけは確実に本人の書いたもの(真筆)
大注目 大変貴重

(切った一部なので「〇〇切」という名称
〇〇のところはこの切れ端が伝来した由来等で付けられたもの)


尾形切
「尾形切」の名は、尾形光琳の祖父・道柏(どうはく)、
父・宗謙(そうけん)などが所蔵したことにちなむ

尾形光琳も愛でていたのだろうなぁ
光琳も美しい字を書く人だけれど
お父さんの宗謙もこんなに美しい↓
(参考)今回の展示ではなく、根津美術館のもの
新古今和歌集抄 尾形宗謙筆 寛文12年(1672)
高級呉服商・雁金屋の当主であった光琳の父は光悦流の書をよく嗜む教養人。お父さんの手になるこんな美しいものが家にある、そんな環境で光琳は育ったという

名品展では尾形家ゆかりの書とともに
尾形光琳の代表作展示↓
国宝 紅白梅図屏風 MOA美術館
教科書や資料集でおなじみ
近くで見ると、ホント圧巻
苔の表現スゴ
ちょうど梅の時期に見た感動


藤原公任の書

頼忠の息子。藤原道長とは同い年で、友情を育むが、出世レースが進むにつれ関係が変化する。音曲、漢詩、和歌など文化面に秀でており、まひろ(紫式部)の『源氏物語』に興味を持つ。

以下、町田さんに脳内変換して鑑賞



藤原佐理の書

美術館では気づかなかったが、もう一人「光る君へ」に登場していた人物の書があったと判明
ドラマのタイトルバックにも、口頭のセリフ上にも名前は出ていなかった藤原佐理(すけまさ)。公卿の話し合いのシーンにしっかり出ていたと確認!

藤原佐理は、
藤原公任(町田啓太さん)藤原実資(ロバート秋山さん)と
同じ小野宮流という藤原の流れで従兄弟にあたる

しかも、能書家(書の達人!!)

《各時代の3大「字の上手い人」に選抜されている》
三筆】9世紀頃に活躍した
  空海・嵯峨天皇・橘逸勢
三蹟】10世紀頃に活躍した
  小野道風・藤原佐理・藤原行成
寛永の三筆】桃山時代から江戸時代初期に活躍した
  近衛信尹・本阿弥光悦・松花堂昭乗

第7回 公卿の話し合いのシーン
左列 柱の前に座り横顔が見えるのが藤原佐理
官位の下の者から発言している
一番左 藤原佐理(すけまさ)
      一番右 藤原義懐(よしちか)出世急上昇中
佐理の発言中、画像は藤原兼家(道長パパ)
字幕だと確かに「佐理」と表示
この紙、現在再現できていない貴重なもの
よく見ると右上に官職である「参議」の文字


—————————

◎翰墨城 今回展示分の書42葉(枚)のうち
 藤原行成、藤原公任、藤原佐理以外の書
 28葉(枚)も全部写真撮影済 別途まとめる予定

他、西行、文覚、藤原定頼、源俊頼、源兼行、源順、
小野道風、紀貫之、菅原道真の書が展示されていた

◎翰墨城の図録を持っている知人がいることが判明!
 
お借り次第、311葉(枚)の全貌を確認する予定

—————————



尾形光琳 「紫式部」と「源氏物語」を描く

2022年 MOA美術館 開館40周年記念名品展 で展示
この時の展示も選りすぐりでスゴかった

重要美術品 紫式部図 尾形光琳 
江戸時代 18世紀
紫式部が石山で月を見て源氏物の構想を得たという伝承をもとに、湖面に映る月を眺め ながら執筆する姿を描いている。中央の花頭窓 や庇(ひさし)の水平線などの造形要素に、光琳の幾何学的形態への興味を伺い知ることができる。

只今、こちらの絵は
東京富士美術館(八王子)の源氏物語展に遠征中↓
開催期間 2024年2月24日(土)~2024年3月24日(日)


光る君へ 紫式部(まひろ)役 吉高由里子さん
左利きを右に直し、しかも筆で書く
ご本人書のシーンは緊張されるという
裏で練習をずっとしていると共演者が言っていた 努力の賜物
秋妤中宮図  尾形光琳 江戸時代18世紀
『源氏物話』の「少女」に取材したもので、秋好中宮が蓋にとりどりの紅葉を乗せ、文を添えて紫の上のもとへ届けさせたというストーリーを、雅やかな情緒を漂わせながら描いている。





(参考)「やまと絵展」 光る君へ 関連展示

2023年開催 東京国立博物館


書は楽しい

徳川家康も、小堀遠州も、松平不昧公も、
歴史研究家の磯田道史先生も、藤原定家の書のファン


本木雅弘さん紅白梅図屏風を愛でていた

MOA美術館の所蔵庫にてご対面





いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集