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短篇集

8
日記から独立した単一の記事をまとめています。
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記事一覧

ディスコースマーカー

ディスコースマーカー

「ねぇ聞いて?」は「私こんな嫌なことあってさー」のディスコースマーカー。現代文の問題だったら、間違いなく逆三角形で囲うべきポイント。
僕はこのディスコースマーカーが嫌いだ。そこから先、何を聞いてもとりあえず良い気分になることはない。嫌なことがあったということを被害者の立場から聞かされるだけだ。そして最後は決まって「ひどくない?」で締まる。それは酷い可哀想に、と思う時もあるけど、「酷くなくない?」っ

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短冊

短冊

暑い。暑すぎる。朝8時30分頃、僕はバイト先の最寄り駅に降りた。外は快晴。この時刻にして32℃を超えていた。そこから1.5kmほど歩いてバイト先へ向かう。もうこの時点で体力の8割を使い果たしてしまった。
バイト中はほとんど意識がなかった。惰性で客を捌き、10秒に一度は欠伸をしていた。後で調べてわかったことだが、夏にやたらと眠くなるのも熱中症の症状のひとつらしい。なんと言ってもバイト先は空気の通りが

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一人称「僕」

7月から毎日、日記を付けている。特に何も無く内容が無い日もあるが、それでも毎日続いていて「書く」ことが習慣づいてきたように感じる。日記にしては毎日長いこと色々書いているような気がする。

日記は当然「僕」の日記なので、主語は僕で、僕視点で全ての物事を書いている。

ただ、世の中の作品には「僕」以外が主語のものが数多くある。架空の人物を「私」にした小説、ショートショートや、誰を主人公とするでもなく漠

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『バズる文章術』と僕。

今日僕は、『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』という本を読んだ。昨今の売れ筋は『バズる文の書き方』だそうで、SNSで受けの良い文を書くにはどうしたら良いかを綴った本が面陳されているので手に取ってみた次第だ。
もう7, 8年ほどSNSをやってきた人生だが、バズることには無縁の人生だった。おもにやってきたSNSと言えばTwitterだが、趣味用アカウントを作ったにした『#はじめてのツイート』みたい

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赤ちゃんも犬も、僕が知らない『僕』を見る

バイトで赤ちゃんを抱いたお客さんを接客した。対応中、ずーーーっと赤ちゃんは興味津々な目をして僕を見つめていた。とてもやりづらかった。去り際、微笑ましそうに申し訳なさそうに、お客さんは僕に軽く会釈した。僕も微笑みつつ申し訳ない感じで会釈を返した。こんな感じのことが、割としょっちゅうある。僕ひとりしかいない時ならまだしも、複数人いる時でさえ僕を選んでひたすら見ていたりする。
赤ちゃんとは言えないくらい

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雨が降ってみれば、僕は僕がナルシストじゃないことを思い出せる。

7月14日、天気は雨。

僕は雨が好きだ。と言うと、「雨が好きな自分が好きなだけだろ。」と言われる。そんな哀しいことを言うお前に何か言ってやれることがあるとしたら、「それでいいだろ別に。」ぐらいだ。指摘の通り、そんな自分に酔っている側面はあるだろう。ただそれの何がいけないのか、僕には分からない。いいだろう別に。

基本的に自己評価低くマイナスの感情が強くはたらいてしまう性分なので、雨の音は僕にとっ

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詩を読む、ということ。

僕は人が書いた詩を読むのが好きだ。だけど、正直言って全く意味がわからない。
最果タヒさんの詩集をよく買って読む。言葉遣いが優しくて同時に怖いなと思う。彼女の言葉はどうも僕の頭の中では繋がらず、バラバラとしていて、たまに物凄い勢いで琴線に触りに飛んでくる。だから好きだということになっている。
ただ8割、9割くらいは意味がよくわかっていない。抽象的とか飛躍してるとか色々言い方はあるけど、複合的に「何が

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進化論について考えてみた ~アリストテレス vs ダーウィン~

「進化論と言えば?」

進化論と言えば、チャールズ・ダーウィンの名前が真っ先に上がる人が多いと思います。実際、ダーウィンは自著『種の起源』のなかで『自然選択説』という学説を提唱し、従来の宗教観で言われていた「神様が人間を創造した。」というものを真っ向から否定しうる生物の進化の様式について説きました。簡単に言うと、「遺伝子は突然変異を起こし、多様化する。その中で当時の環境に対応した個体、種族のみが自

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