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いま、残業の気分です。
「おつかれさまです」
いつもなら18時ごろのセリフも
今日は19時過ぎまでおあずけだ。
もう一人が早上がりしたとわかって
あと一仕事しようと心に決めた。
今日はあの人ももう上がりそう。
「おわったー」の声が聞こえるや否や
パタリのノートを閉じる。
いそいそと片付けをする私に
日常モードの彼からの誘い。
「このあと、ごはん行かない?」
「つもり」積もった「大丈夫」
入れたはずの砂糖が
微塵も感じられない
ブラックコーヒーだったり
手にしたはずの布巾が
音もなく横たわっている
シンクだったり
そうした一つ一つのことが、
よろめいた心を映し出すようで
泣けない私は、空を見る。
昨日、祖母が、亡くなった。
祖父、親戚のおばさん、
飼っていた3匹の犬やハムスター。
たくさんの死と向き合ってきた。
それなのに、ペットで泣けて
人では泣けない。
傍から聞けば、なんて不幸者なのだろう。
初恋の人にフラれた時の方が
よっぽど涙腺が緩かった。
涙は、どこから来るのだろうか。
恐怖と椅子と希望の光
人はなぜ映画館のスクリーンに
一喜一憂し、何かしらの想いを胸に
会場をあとにすることができるのだろう?
今や、あらゆる映画作品が公開とほぼ同時に
DVDやブルーレイの広告を打ち、
気づけば動画サブスクリプションの
コレクションの一つに肩を並べるこの時代。
人々が映画館へ足を運ぶのはなぜか?
「非日常の擬似体験だからだ」人々はありとあらゆる状況に慣れてしまった。
度重なるクレームも、信号待ちの3
あぁ、もう、なんで、、
「もう一軒いかがですかぁ」
『そこの綺麗なお姉さん、このあとどう?』
トゥルルルルルルゥ
「だぁしゃぁりあぁす。ご注意くださぁい」
ざわつく雑踏を抜けて、いつもの道を歩く。
時折、耳の横を通り過ぎるカタンコトンという
電車の音だけが響いている。
明日も早い。
「ただい...ま...」
ついくせで出た帰宅を告げるその一言は
いつまでも宙を舞っている。
帰らなくなってからどれくらい経つだろう。
行き場のないこの手は、気づけばまた、カップに延びている
目を開ける。
目を閉じる。
再び開いた目に映る時計の針。
思わず飛び起きる癖さえも抜けた
8日目の昼下がり。
いつもは出しっ放しのよそゆきのヒールも
今は靴箱で惰眠を貪っている。
優雅なブランチとは似ても似つかない
食べかけの出来合ものが喉元を過ぎたころ、
ゴミ出しを忘れていることに気づく。
ビンや缶の詰まった袋を手に
軒先に出た私の眼に映る
荒らされた袋と幾羽かのカラス。
「そっか、火
上がらない声と見過ごされる現実
ご存知の通りの惨状だ。
どこもかしこもストレスと
不安の掃き溜めと化している。
「リモートワークへ移行
できた仕事もある」
と言えば聞こえはいいが、
その中で渦巻く問題に気づかない人の
なんと多いことだろう。
子どもがいるご家庭では
学校や外遊びで使い果たされるはずの
力を持て余した彼らと対峙しながらの
仕事が余儀なくされる。
適度な距離感で過ごすことで
良好な関係を保ってきた人々が
一つの